Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

中小企業や事業主が価格競争から抜け出るには:昔ながらのタバコ屋が売るべきは顧客体験

毎月準レギュラーで出演しているZIP-FMのモーニングチャージでは、リスナーの方からの質問にお答えしている。
毎回、小売店や個人事業主の人からの質問が多く、とても臨場感がある内容で興味深い。先日は、

小売業が値引き合戦から抜け出るには  

「家で母がタバコ屋をやっています。昔ながらのタバコ屋です。
近所にコンビニが出来たりして、規模的にも厳しく、もとより、業界的にも厳しい状況が、今後、更に進んできそうなのは百も承知です。
でも続けたいと高齢の母はいいます。
コンサル的な目で見て、このような昔ながらのタバコ屋が持ってる"強み"や"武器になる個性"とは、何だと思いますか?」

という質問をいただいた。
商店.jpgタバコ屋さんに限らないのだが、やはり個人商店の一番の強みは、
「お客さんを知っている」ということにつきる。

お母さまは看板娘なわけで、「おなじみさん」が好みのものをしっかりと販売していくことが重要になる。

「販売個数に限って言えば、コンビニのような業態にかなわないようにも思いますが・・・」
と、さらに質問があったが、

自社だけの強みはなにか?タバコ屋はたばこを売ろうとしてはいけない  

コンビニと比べると、確かに個数や値引きなどではかなわない。
ただし、価格や売り上げ個数という土俵で勝負してはいけないのだ。

お母さまが売っているのはたばこではなく「信頼や安らぎ」だと考えるべきである。
タバコ以外のモノ、たとえばお母さまの知恵を活かした寒いときのおススメグッズなども合わせて売るとか、商品に知恵袋として「みよこおばあちゃんの知恵袋」などとして、
コピーして「無料で」つけるとかすれば、わざわざ買いに来てくれる可能性は高まる。

最後の質問は
「昔ながらのお店が昔ながらのやり方をしていても、それは難しいですか?」
というものだったが、売り方に古いとか新しいは確かにある。
しかし大事なのはお客様が買いやすいかどうか、また、買う時に楽しいかどうかである。

昔ならではの売り方でもお客様の期待に応えていれば買ってもらえる。

先ほどの事例でいえば、「モノ」としてのタバコを売ろうとするのではなく、いかにして自分のお店での「顧客体験」を上げるかを考えるべきなのである。

そうはいってもなかなか慣れ親しんだ自分の頭の中を切り替えるのは容易ではない。

では、どういう点で、頭を切り替えるべきかというと、
やはり、お客様が欲しいものはなにかを徹底的に考え、
期待以上のものを提供しようと毎日考えることに尽きる。

そのためには、自分・自社だけができることを徹底的に考え、お客様に提供することなのだ。


マーケティング コンサルタント
理央 周


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