マーケターの育て方とは?成果を出せるマーケティング人材の3つの特徴【完全ガイド】ROIを最大化する採用から育成法まで

◾️ 【経営者必見!】できるマーケターが必要な理由とは?

マーケティング組織を統括する経営者は、常に一つの課題に直面します。それは、同じような学歴、同じような経験年数のマーケターを採用しても、なぜかパフォーマンスに大きな差が生まれてしまうのです。

入社後わずか数年で会社の売上を大きく左右するような成果を出すマーケターもいれば、何年経っても期待した結果を出せずに悩んでいるマーケターもいます。

この差は一体何なのでしょうか?

      目次
  1. ◾️ 【経営者必見!】できるマーケターが必要な理由とは?
  2. ◾️ 特徴1:データに基づく意思決定力
  3. ◾️ 特徴2:顧客視点での思考力
  4. ◾️ 特徴3:継続的な学習・適応力 
  5. ◾️ 組織として「できるマーケター」を活用・育成するために 

これまで多くのマーケターと働き、組織を支援してきた経験から言えることは、優秀なマーケターの価値は計り知れないということです。一人の優秀なマーケターが生み出すROIは、平均的なマーケター数名分に匹敵することも珍しくありません。

特に現在のようなデジタル化が加速する時代において、マーケティングが企業の成長を左右します。新しいプラットフォームの台頭、AIの活用、プライバシー規制の強化など、変化の激しい環境において、適応できるマーケターとそうでないマーケターの差は、企業の競争力に直結するのです。

この記事では、真に成果を出す「できるマーケター」には共通する3つの特徴について、私の長年の経験を踏まえて解説します。これらの特徴を理解し自社に応用することで、採用時の見極めはもちろん、既存メンバーの育成方針も明確になります。経営者として、そして組織を率いるリーダーとして、これらの特徴を組織に根付かせることが、持続的な成長の鍵となるのです。

できるマーケターとそうでないマーケターの違いについては、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。
▶️ 【徹底比較!】できるマーケターとそうでない人の決定的な違いとは?:スキル・マインドセットからひもとく必要な習慣と勉強法

◾️ 特徴1:データに基づく意思決定力

できるマーケターと平凡なマーケターを分ける最も大きな要素は、データへの向き合い方です。経営者として数多くのマーケティング施策の成否を見てきましたが、成功する施策には必ず明確な根拠があります。

投資対効果を最大化する思考法

優秀なマーケターは、限られた予算を最大限に活用する方法を知っています。彼らは施策を実行する前に、必ず投資対効果の予測を立て、実行後は厳密にROIを測定します。

例えば、月間のマーケティング予算が1000万円の場合、彼らは各チャネルの過去実績データを基に、どこに予算を配分すれば最大の効果が得られるかを計算します。そして実行後は、実際の結果と予測を比較し、次月の予算配分に活かします。

このようなデータドリブンなアプローチにより、マーケティングROIを継続的に改善していけるのです。私が見てきた優秀なマーケターは、年間を通じてマーケティングROIを20-30%改善することも珍しくありません。

経営判断を支える分析力

経営者にとって、マーケティング部門からの報告は重要な経営判断の材料です。できるマーケターは、単に「今月のCVRは3.2%でした」という事実を報告するのではなく、「前月比0.5%向上した要因は○○で、来月はさらに△△の施策により0.3%の向上が見込めます」という形で、戦略的な提案まで含めて報告します。
また、市場の変化や競合の動向についても、データに基づいた洞察を提供してくれます。「競合A社のSNS投稿数が前月比150%増加し、engagement rateも向上している。おそらく新商品のローンチに向けた認知拡大施策と推測される」といった具合に、データから読み取れる戦略的含意まで分析してくれるのです。

組織全体のデータリテラシー向上

優秀なマーケターは、自分だけがデータを理解するのではなく、組織全体のデータリテラシー向上にも貢献します。営業チームとマーケティングデータを共有し、どのリードがクロージングしやすいかを分析したり、プロダクトチームとユーザー行動データを共有し、機能改善の優先順位を決めたりします。
このような組織横断的なデータ活用により、会社全体の意思決定の質が向上します。結果として、マーケティング部門だけでなく、全社的な業績向上に寄与するのです。

採用・育成における着眼点

データ分析力を見極めるためには、面接時に具体的な分析事例について質問することが効果的です。「過去に手がけた施策で、データ分析により大きく改善できた事例を教えてください」といった質問により、表面的な知識ではなく、実際の問題解決能力を確認できます。
また、既存メンバーの育成においては、分析ツールの操作方法を教えるだけでなく、「なぜそのKPIを設定するのか」「どのような仮説を立てるべきか」といった思考プロセスから指導することが重要です。

理論と実践や経験値の重要性については、以下の記事でも詳しく説明していますので、参考にしてください。
▶️ 失敗しないマーケティングコンサルタントの選び方|理論と経験、両方を持つ人がベストな理由とは?

◾️ 特徴2:顧客視点での思考力

経営者として最も重視しているのは、顧客価値の創造です。どれだけ優れたマーケティング手法を使っても、顧客のニーズから乖離していれば意味がありません。できるマーケターは、常に顧客の立場に立って思考します。

売上成長の源泉となる顧客理解

優秀なマーケターは、顧客理解を売上成長の源泉として捉えています。表面的な属性情報だけでなく、顧客の課題、感情、行動パターンまで深く理解することで、より効果的な施策を設計します。

例えば、当社のBtoBサービスにおいて、従来は「IT部門の管理者」というペルソナで施策を組んでいました。しかし、優秀なマーケターが顧客インタビューを重ねた結果、実際の決裁に大きく影響するのは「現場の業務効率化に課題を感じている部門長」であることが判明しました。

この洞察に基づいてメッセージングとターゲティングを変更した結果、リード獲得コストが40%削減され、同時にクロージング率も25%向上しました。顧客理解の深さが、直接的に事業成果に結びついた事例です。

長期的な顧客価値の最大化

短期的な売上だけでなく、長期的な顧客価値(LTV)を意識した施策を組めるのも、優秀なマーケターの特徴です。新規獲得だけでなく、既存顧客の満足度向上やアップセル・クロスセルまで含めた総合的な戦略を立案します。
顧客のライフサイクル全体を通じて、どのタイミングでどのようなコミュニケーションを取るべきかを設計し、結果として顧客満足度とLTVの両方を向上させます。経営者として、このような長期的視点を持ったマーケターは非常に価値が高いと感じています。

市場機会の発見と事業拡大

深い顧客理解は、新たな市場機会の発見にもつながります。既存顧客の声に耳を傾ける中で、当初想定していなかった用途や市場セグメントを発見することがあります。
実際に、当社でも顧客インタビューを通じて、全く想定していなかった業界での需要があることが分かり、新たな事業領域に進出するきっかけとなりました。このような事業拡大の機会を見つけてくれるマーケターは、経営者にとって非常に頼もしい存在です。

組織全体の顧客志向を牽引

優秀なマーケターは、マーケティング部門だけでなく、組織全体の顧客志向を牽引してくれます。営業チームに顧客インサイトを共有し、プロダクトチームに顧客の声を届け、カスタマーサクセスチームと連携して顧客体験の改善を図ります。
このような活動により、会社全体が顧客中心の思考で動くようになり、結果として事業成長が加速します。

採用・育成における着眼点

顧客視点での思考力を見極めるためには、過去の施策について「なぜその施策を選択したのか」「顧客にとってどのような価値があると考えたのか」を詳しく聞くことが重要です。自社都合の説明に終始するのか、顧客価値の観点から説明できるのかで、思考の質が分かります。

育成においては、定期的に顧客と接する機会を設けることが効果的です。顧客インタビューへの同席、営業同行、カスタマーサポートでの研修など、様々な形で顧客の生の声に触れる経験を積ませることで、顧客視点が養われます。

◾️ 特徴3:継続的な学習・適応力

デジタルマーケティングの世界は変化が激しく、新しいプラットフォーム、ツール、手法が次々と登場します。この環境において、継続的に学習し、変化に適応できるマーケターこそが、長期的に価値を提供し続けてくれます。

競争優位の源泉となる先行投資

優秀なマーケターは、新しい機会を見つけることが得意です。TikTokが台頭した時、ChatGPTが登場した時、彼らは「まず試してみる」という姿勢で、実験的な取り組みを始めます。

このような先行投資的な取り組みにより、競合他社に先駆けて新しいチャネルやツールを活用できるようになります。結果として、競争優位を築くことができるのです。
例えば、当社では2年前からTikTokでのマーケティングを実験的に開始しました。当初は成果が見えませんでしたが、継続的に取り組んだ結果、現在では重要な顧客獲得チャネルの一つとなっています。このような先行投資ができるマーケターがいることで、競合優位を維持できています。

組織の学習・成長を牽引

個人の学習だけでなく、組織全体の学習・成長を牽引してくれるのも、優秀なマーケターの特徴です。新しく学んだ知識やスキルを社内で共有し、チーム全体のレベルアップを図ります。

また、外部のセミナーやカンファレンスに参加した際は、単に自分の知識を増やすだけでなく、組織にとって有益な情報を持ち帰り、戦略立案に活用します。このような知識共有により、組織全体の成長速度が加速します。

失敗から学ぶ文化の醸成

変化の激しい環境では、すべての施策が成功するわけではありません。重要なのは、失敗から学び、次の成功につなげることです。優秀なマーケターは、失敗を恐れず、むしろ学習の機会として捉えます。
このような姿勢は、組織全体に良い影響を与えます。失敗から学ぶ文化が根付くことで、チーム全体がチャレンジングな取り組みを恐れなくなり、イノベーションが生まれやすくなります。

長期的な組織能力の向上

継続的な学習・適応力を持つマーケターがいることで、組織の長期的な能力向上が期待できます。彼らは常に新しい知識やスキルを習得し、それを組織に還元してくれるため、会社全体のマーケティング能力が継続的に向上します。
また、このようなマーケターは他のメンバーの良いロールモデルにもなります。学習・成長への意欲が組織全体に波及することで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。

採用・育成における着眼点

学習・適応力を見極めるためには、「最近新しく学んだことはありますか」「失敗から学んだ経験を教えてください」といった質問が効果的です。具体的な学習内容や、失敗をどのように次に活かしたかを聞くことで、真の学習・適応力を確認できます。
育成においては、新しいことにチャレンジする環境を整えることが重要です。実験的な取り組みに対する予算を確保し、失敗を許容する文化を作ることで、メンバーの学習・適応力を伸ばすことができます。

◾️ 組織として「できるマーケター」を活用・育成するために

これまで見てきた3つの特徴は、個人のスキルレベルを示すだけでなく、組織の競争力を決定する重要な要素でもあります。データに基づく意思決定力により投資効率が向上し、顧客視点での思考力により市場機会を発見し、継続的な学習・適応力により競争優位を維持できます。

組織レベルでの取り組み

経営者として重要なのは、これらの特徴を持つマーケターを採用するだけでなく、組織全体でこれらの能力を伸ばす環境を整えることです。
データ分析については、必要なツールやトレーニングを提供し、分析結果を経営判断に活用する仕組みを作ります。顧客視点については、全社的に顧客接点の機会を増やし、顧客の声が組織全体に届く仕組みを構築します。学習・適応力については、新しい取り組みへの予算確保と、失敗を許容する文化醸成が重要です。

採用戦略の見直し

従来の採用では、経験年数や使えるツールの種類に注目しがちでした。しかし、真に重要なのは、これら3つの特徴を備えているかどうかです。面接プロセスでこれらの観点を重視することで、より価値の高いマーケターを採用できるようになります。

継続的な組織能力向上

マーケティング組織の能力向上は一朝一夕では実現できません。長期的な視点で、メンバー一人一人がこれらの特徴を伸ばせるよう支援することが重要です。そのためには、適切な目標設定、定期的なフィードバック、成長機会の提供が欠かせません。

優秀なマーケターの価値は、単に個人の成果にとどまりません。組織全体のマーケティング能力を底上げし、事業成長を加速させる原動力となります。経営者として、このような人材を見極め、育成し、活用することで、持続的な競争優位を築いていきましょう。

マーケティングは企業成長の重要なエンジンです。そのエンジンを最大限に活用するためには、「できるマーケター」の力が不可欠です。今日学んだ3つの特徴を組織運営に活かし、さらなる成長を実現していきましょう。

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執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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