インターナルマーケティングとは?意味・効果・始め方を事例で解説【保存版】

インターナルマーケティングで組織を変える - 社内にこそマーケティングが必要な理由
「売れる会社」は社内から売っている----インターナルマーケティングという舞台裏の戦略
「マーケティング=外に向けた活動」そう思っていませんか?
実は、これは半分正解で、半分間違いです。多くの経営者やマネージャーから「マーケティングはお客さんに向けてやるものでしょう?」とよく言われますが、本当に成果を上げている企業は、外向けだけでなく社内に向けたマーケティングも徹底しています。
これを「インターナルマーケティング」と呼びます。
このインターナルマーケティングこそ、売れる仕組みの起点になる。舞台に例えるなら、観客の前に立つ前に舞台裏を整えることです。
目次
インターナルマーケティングとは何か
なぜ社内にこそマーケティングが必要なのか、そしてどう活用すれば組織全体のパフォーマンスが劇的に変わるのかを、具体的な事例とともにお話しします
- 外向き(エクスターナル)は「市場の顧客」を動かす活動。
- 内向き(インターナル)は「社内の顧客=社員」を動かす活動。
外向けのマーケティングをおさらいしましょう。広告、営業トーク、展示会、SNS発信。これらは全て「お客さまに価値を伝えるための活動」です。多くの企業がイメージするマーケティングはこちらですよね。
一方で、インターナルマーケティングは「社内に向けたマーケティング」です。社員を「社内のお客さま」ととらえて、商品やサービスの価値を理解してもらい、同じ方向を向いて動けるようにする活動です。
演劇に例えると、観客が納得・感動する演技を届けるのが外向きマーケティング、裏方が同じ台本・同じ cueで舞台を支えるのがインターナルマーケティングです。
裏方がバラバラだと、いくら主演が頑張っても名演にならない。マーケティングも同じです。同じ物語を、同じ言葉で、同じ方向へ。この状態を先につくれるかどうかで、外への成果が決まります。
3つの活用シーンと"腹落ち"の設計
1)新商品・新サービス立ち上げ:リレーのバトンを確実に渡す
商品企画がどれだけ良いバトン(コンセプト)を作っても、営業が落とせば勝てません。立ち上げで効くのは「背景→誰の何課題→独自価値」を"営業の言葉"に翻訳して渡すこと。
- なぜ作ったのか(背景・環境変化・顧客の未充足)
- 誰のどんな不(不満・不便・不安)を解決するのか
- 既存との違い(代替案とのトレードオフを明示)
- 成果の根拠(数値・導入事例・証拠の小さな勝利)
あるメーカーでは、営業向けの徹底説明会を複数回・小分けで実施し、30秒ピッチを全員が言えるまで練習しました。結果、提案の入りが変わり、初年度売上は計画超え。ポイントは「理解」ではなく"腹落ち"を起こすことです。
腹落ちのチェック質問
- 「この商品は誰の何を変える?」
- 「お客さまが次に取りたくなる行動は何?」
- 「競合にあえて捨てているものは何?」
ここまで言えれば、バトンは落ちません。
2)部署間連携:オーケストラに"共通スコア"を配る
営業は売る、開発は作る、CSはクレーム処理----縦割りの会社は音が「騒音」になりがちです。顧客の声を全社で見える化し、共通スコア(共通メッセージ)で演奏すると一気に整います。
実践の要点は3つ。
- 声の一点集約:CS・営業メモ・NPSを一箇所に。
- "価値語"への翻訳:機能語(高性能・多機能)→価値語(〇〇時間短縮、ミス△%減)。
- 反映の速さ:改善要望の決定→実装→営業告知を短いリズムで回す。
あるIT企業はサポートに溜まる不満を、営業・開発と毎週15分で共有するだけの小さな仕組みを入れました。開発は"やめる機能"を決め、営業は「改善済み」を武器に再提案。満足度↑ → 再受注率↑。宣伝費を上げる前に社内の摩擦を下げる----これが利益に直結します。
3)人材育成:スポーツ合宿で"チームの哲学"を体験させる
やり方(How)だけ教えても成果は出ません。なぜ(Why)を体で理解させること。ある小売企業は新人研修で顧客インタビュー体験を入れました。
- 「なぜ選んだのか」
- 「何に不便を感じたか」
- 「買わない理由は何か」
すると新人は「並べる人」から「選ばれる理由をつくる人」に変化。売場の仮説検証が生まれ、若手の成果が早まった。スポーツチームの新人合宿と同じで、チームの哲学と言葉が揃えば、各自のプレーが噛み合います。
各部門はどう変わるのか?
インターナルマーケティングが浸透すると、それぞれの部門はこんなふうに変わります:
営業部門の変化
「この製品は安いです」ではなく「この製品で顧客の課題がこう解決できる」と語れるようになる。価格ではなく価値で勝負できるようになります。
人事部門の変化
採用を「社員も社内顧客」という目線で設計すれば、応募者に響くメッセージを作れる。「なぜこの会社で働くべきなのか」を明確に伝えられるようになります。
開発部門の変化
「作りたい機能」ではなく「顧客が価値を感じる機能」に集中できる。技術オリエンテッドから顧客オリエンテッドへと発想が変わります。
カスタマーサポートの変化
単なるクレーム処理から「顧客理解の最前線」に変わり、改善のネタを会社に還元できる。サポートが会社の戦略部門になるんです。
つまり、会社に所属するすべての人に関係があるのが、インターナルマーケティングなんです。
成功させるための3ステップ
では、具体的にどう進めればいいのか。成功のための3ステップをお伝えします:
ステップ1:目的を明確にする
「私たちは何を売っているのか?」を価値で表現しましょう。
- 「パソコンを売っている」ではなく「お客さまの業務効率化を実現している」
- 「保険を売っている」ではなく「お客さまの将来への安心を提供している」
このように、機能ではなく価値で定義することが重要です。
ステップ2:共有の仕組みを作る
社内説明会、イントラネット、社内報など、繰り返し伝える仕組みを作りましょう。一度伝えただけでは定着しません。様々なチャネルで、様々なタイミングで伝え続けることが必要です。
ステップ3:体験させる
商品を実際に使ってもらう、顧客の声を直接聞いてもらう。体験を通じて理解してもらうことで、腹落ちが生まれます。
これが仕組み化されて初めて、文化として定着します。
舞台裏が整って初めて、最高の舞台が生まれる
改めてまとめると:
- 外向けマーケティングは「観客=市場」に向けた発信
- インターナルマーケティングは「舞台裏=社内」に向けた発信
- 全員が顧客目線を理解することで、はじめて舞台=会社全体がうまく回る
そして、活用シーンを振り返ると:
- 新商品立ち上げ = リレーのバトン渡し
- 部署間連携 = オーケストラの楽譜共有
- 社員教育 = スポーツチームの合宿
どの場面でも、インターナルマーケティングが組織のパフォーマンスを劇的に向上させることがお分かりいただけたでしょうか。
「あなたの会社の社員は、自社のウリを"顧客の言葉"で語れますか?」
もし答えが「No」であれば、それは大きなチャンスです。インターナルマーケティングを始めることで、あなたの組織は確実に変わります。
顧客に最高の価値を届けるために、まずは社内から。舞台裏を整えることから始めてみてください。
このブログでは、マーケティングや営業に役立つ記事を掲載しています。他の記事も読み、ビジネスの参考にしてください。
執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
マーケティングを自社に取り入れたい、営業チームを活性化したい、新しいビジネスを軌道に乗せたいなど、この記事やマーケティングについて知りたいこと、聞いてみたいことは、マーケティングアイズ株式会社のフォームからお気軽にどうぞ(以下をクリックください)