採用マーケティングとは?【中小企業もすぐ実践!】人材獲得を成功に導く8つのマーケティング手法

◾️ 【経営者必見!】採用活動を成功させるにはマーケティング思考を取り入れよう
「求人を出しても応募がほとんど来ない」
「選ばれる理由が言語化できないので、普通の会社と思われてしまう」
「良い人材を見つけても選ばれない」
ますます人材獲得競争は激しくなり、企業はこれまで以上に採用活動に力を入れています。しかし、従来の「求人広告」中心の採用活動では、優秀な人材に自社の魅力を効果的に伝え、応募に繋げることは難しくなってきています。
そこで注目したいのが、マーケティングの考え方です。
「え?採用とマーケティングって全然違うじゃないか」
そう思われた方もいるかもしれません。確かに、顧客に商品やサービスを販売するマーケティングと、求職者に自社の魅力を伝え入社を促す採用広報は、目的が異なります。しかし、その本質には驚くほど共通点が多いのです。
◾️ マーケティングの考え方が採用活動にも生きる理由
そもそもマーケティングは「顧客のニーズを理解し、自社の商品やサービスを通じてそのニーズを満たすための活動全般」です。一方、採用での広報は、求職者のキャリアに対する願望や企業選びの軸を理解し、自社の理念や仕事内容、成長機会を通じてその願望に応える活動と言えるでしょう。つまり、どちらも
「相手を理解し、相手にとって魅力的な価値を提供する」
という点で共通しているのです。
例えば、マーケティングにおけるターゲット顧客の設定は、採用におけるターゲット人材の明確化と共通しています。顧客が何を求めているのかを分析するように、企業はどのようなスキルや経験、価値観を持つ人材を求めているのかを明確にする必要がある、といった具合です。
また、マーケティングでのプロモーション戦略は、自社の魅力をターゲット層に効果的に伝えるために不可欠です。これは採用広報においても同じで、求職者が最も興味を持つであろう情報を、適切なチャネルを通じて発信していくことが重要になる、といった具合です。
事例:スペックだけではない、共感を呼ぶストーリーで入社意欲を高める
従来の採用活動では、どうしても給与や福利厚生といった条件面に焦点が当たりがちでした。もちろん、これらの要素は重要ですが、それだけでは優秀な人材の心を掴むことはできません。
考えてみれば、あなたも商品やサービスを選ぶ際、スペックや価格だけで即決することは少ないのではないでしょうか?その商品やサービスが持つ背景やストーリー、利用者の声などに共感し、「自分にとって価値がある」と感じた時に購入に至るはずです。
この顧客行動と価値観を、求職者に置き換えてみると採用活動も同じだということがわかるです。求職者は、企業の理念やビジョン、そこで働く人々の想いや成長ストーリーに共感し、自分自身が活躍できるイメージを持てた時に、入社を強く意識するようになります。
ある中小企業では、採用活動において社員一人ひとりの入社理由や仕事のやりがい、成長エピソードなどをインタビュー形式でブログやSNSで発信しました。すると、これまで応募が少なかった層からの応募が増え、結果的に企業の理念に共感し、長く活躍してくれる人材の採用に成功しました。
これはまさに、マーケティング活動で重視する"カスタマーレビュー"が購買意欲を高めるのと同じ原理です。企業が「売りたいもの」ではなく、求職者が「知りたいこと」「共感したいこと」を発信することで、より効果的な採用活動が実現できるのです。
マーケティングが非マーケティング部門の人たちにも重要な理由
「採用は人事部の仕事でしょ?」
そう考える方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。なぜなら、企業のブランドイメージは、採用活動を通じて大きく左右されるからです。
求職者は、企業のウェブサイトや説明会、面接などを通じて、その企業に対する印象を形成します。もし、情報が不足していたり、担当者の対応が不誠切だったりすれば、「この会社は従業員を大切にしないのではないか」「風通しが悪いのではないか」といったネガティブなイメージを持たれてしまう可能性があります。
これは、マーケティングで例えるなら、顧客体験の低下と同じです。一度ネガティブな印象を持たれてしまうと、それを払拭するのは容易ではありません。
だからこそ、採用活動は人事部だけでなく、広報部や現場の社員など、企業全体で取り組むべき重要なマーケティング活動と捉えるべきなのです。
以下がその理由と事例です。
1. すべての部門が「社内顧客」を持つ
マーケティング部門は外部顧客に価値を提供しますが、他の部門も「内部顧客」に価値を提供しています。例えば人事部の「顧客」は従業員であり、情報システム部の「顧客」は社内システムユーザーです。
この「内部顧客」の視点で自分の業務を捉えると、マーケティング思考が自然と必要になります。「顧客は何を求めているか?」「我々は何を提供できるか?」「競合(他企業の同部門や外部サービス)と比べて我々の強みは?」という問いが生まれるからです。
2. 「選ばれる」競争はあらゆる場面で起きている
かつての日本企業では、社内の各部門は「選ばれる」必要がなかったです。しかし今日では、あらゆる場面で「選ばれる」競争が起きています:
• エンジニアリング部門は、優秀なエンジニアから「働きたい部門」として選ばれる必要があります
• 人事部は、従業員から「相談したい部門」として選ばれる必要があります
• 経営企画は、現場から「一緒に仕事したい部門」として選ばれる必要があります
こうした「選ばれる」競争に勝つためには、マーケティング思考が不可欠です。「なぜ彼らは私たちを選ぶべきか?」という問いに、説得力ある答えを用意する必要があります。
3. 「説得」はすべての仕事に内在する
ビジネスにおいて、「説得」はあらゆる場面で必要になります:
• 上司を説得して予算や人員を獲得する
• 同僚を説得してプロジェクトに参加してもらう
• 部下を説得して新しい方針に従ってもらう
この「説得」というプロセスは、本質的にマーケティングと同じです。相手の欲求や懸念を理解し、それに応える価値を提供することで、行動変容を促すプロセスだからです。
◾️ 採用マーケティングの実践5つのステップ
では具体的に、マーケティング思考を採用活動に導入するには何をすべきでしょうか?以下に実践ステップを示します:
STEP 1:「採用市場調査」を実施する
一般的な市場調査と同様、「採用市場調査」も以下のような手法で実施します:
• 候補者インタビュー:選考中の候補者や辞退者にインタビューし、彼らの意思決定プロセスを理解します
• 従業員調査:現在の従業員、特に入社1-3年目の社員に「なぜ入社を決めたか」「何に不安を感じたか」を聞きます
• 競合分析:同業他社の採用サイトや求人内容を分析し、差別化ポイントを見出します
• トレンド分析:求職者の価値観や行動の変化を追跡します
STEP 2:「雇用価値提案(EVP)」を明確にする
調査結果を基に、自社だけの「雇用価値提案(Employment Value Proposition)」を明確にします。これは製品のUVP(Unique Value Proposition)と同じ概念です。
• 機能的価値:給与、福利厚生、キャリアパスなど
• 感情的価値:働きがい、仲間との絆、社会的意義など
• 自己表現的価値:自社で働くことで表現できる自己イメージ
特に重要なのは、「Why」「How」「What」の順番で考えることです。多くの企業は「What(何をするか)」から始めますが、優れた採用ブランディングは「Why(なぜそれをするのか)」から始まります。
STEP 3:「候補者体験」を設計する
製品開発でUXデザインが重要なように、採用プロセスでも「候補者体験」の設計が重要です。
• 応募前体験:採用サイト、SNS、イベントなど
• 選考体験:面接、課題、フィードバックなど
• 内定後体験:内定者フォロー、入社前研修など
各接点で「候補者にどんな体験をしてほしいか」「どんな感情を持ってほしいか」を明確にし、それを実現するプロセスを設計します。
STEP 4:「採用コミュニケーション」を一貫させる
マーケティングではブランドメッセージの一貫性が重要なように、採用活動でも一貫したコミュニケーションが必要です。
- • メッセージング:核となるメッセージとサブメッセージを明確に
• トーン&マナー:コミュニケーションの調子と作法を統一
• ビジュアルアイデンティティ:デザイン要素を統一
特に重要なのは、人事部だけでなく現場の面接官も含めた「全員が同じ会社の価値観を体現する」ことです。一人の面接官の言動が、会社全体の印象を左右することもあります。
STEP 5:「採用KPI」を設定し改善する
マーケティングではKPIを設定して継続的に改善するように、採用活動もKPIを設定して改善すべきです。
• 量的指標:応募数、内定承諾率、離職率など
• 質的指標:候補者満足度、従業員エンゲージメントなど
• 効率指標:採用コスト、採用リードタイムなど
これらの指標を定期的に測定し、PDCAサイクルを回すことで、採用活動は継続的に進化します。
◾️ 採用活動に活かせる8つのマーケティング手法
では実際に、どのようなマーケティング手法を活かした採用施策を打てばいいのでしょうか? 以下に7つの事例を紹介します。
1. ターゲット人材の明確化とペルソナ設計
ペルソナ設計は、求める人物像を具体的に定義し、その人物像に響くメッセージを設計する方法です。
マーケティングでは、ターゲット顧客を明確にすることが最初のステップです。同じように、採用活動においても、どのような人材を採用したいのかを具体的に定義することが重要になります。単に「優秀な人」という曖昧な定義ではなく、求めるスキル、経験、価値観、キャリアプランなどを詳細に落とし込むのです。
ここで有効なのが、ペルソナ設計です。ペルソナとは、ターゲットとなる人材の典型的な人物像を具体的に設定したものです。年齢、性別、職務経験、スキル、価値観、ライフスタイル、情報収集の方法などを詳細に設定することで、採用活動の軸が明確になり、より効果的なアプローチが可能になります。
例えば、「新規事業を牽引できるリーダー候補」というターゲットを設定した場合、以下のようなペルソナを設計することができます。
• 氏名: 山田 太郎 年齢: 35歳
• 最終学歴: 大学院卒(MBA)
• 職務経験: ITベンチャー企業で10年間、新規事業の立ち上げや事業開発に従事。マネージャー経験5年。
• スキル: 市場調査、事業計画策定、チームマネジメント、プレゼンテーション、英語(ビジネスレベル)
• 価値観: 挑戦、成長、イノベーション、チームワーク
• キャリアプラン: 将来的には自ら事業を創りたいと考えている。
• 情報収集の方法: LinkedIn、業界ニュースサイト、ビジネス雑誌、セミナー
このようなペルソナを設定することで、「山田太郎さんのような人材は、どのような情報に関心を持つだろうか」「どのようなメッセージであれば響くだろうか」といった具体的な検討が可能になります。
ペルソナの作り方については以下のブログ記事で説明しているので、参考にしてください。
▶️ ペルソナの作り方〜売上増につなげる作成方法、意識統一、社内浸透までのプロセス
2. 「カスタマージャーニー」から「候補者ジャーニー」へ
マーケティングでは「認知→興味→検討→購入→推奨」という顧客の購買ジャーニーを設計します。採用でも「認知→興味→応募検討→応募→選考→入社→定着」という「候補者ジャーニー」を設計すべきです。
各ステージで候補者が何を考え、何を知りたいと思っているかを理解し、適切な情報と体験を提供します。例えば「応募検討」段階では、給与や福利厚生より「実際にどんな仕事をするのか」の具体例を求めていることが多いのです。
3.魅力的なコンテンツの作成〜企業の理念、文化、働く人々の魅力を伝えるブログ記事、動画、インフォグラフィックなどの制作
優れたマーケティングは、顧客の「悩み」を解決するコンテンツを提供することで関係構築を始めます。採用でも同様に、求職者の「悩み」を解決するコンテンツを提供し、関係構築を始めるべきです。
例えば、IT企業なら「エンジニアのキャリア迷子を解決する方法」といったコンテンツを公開し、潜在候補者との接点を作ります。この段階では露骨な採用メッセージは控え、純粋に価値のある情報を提供することで信頼関係を構築します。
なので、ターゲット人材が明確になったら、次に彼らにとって魅力的なコンテンツを作成します。企業の理念やビジョン、事業内容だけでなく、そこで働く人々の想いやストーリー、職場の雰囲気、キャリアアップの機会などを具体的に伝えることが重要です。
具体的なコンテンツの例としては、以下のようなものが挙げられます。
• ブログ記事: 社員のインタビュー記事、プロジェクトの裏側、技術紹介、キャリアパス事例、会社の文化紹介など。
• 動画: 会社の紹介動画、社員の一日の密着、働く環境の紹介、採用担当者からのメッセージなど。
• インフォグラフィック: 会社の強み、事業の成長性、福利厚生、研修制度などを分かりやすくまとめたもの。
• ウェビナー: 会社説明会、社員によるパネルディスカッション、キャリアに関するセミナーなど。
• ポッドキャスト: 社員のホンネ、業界のトレンド解説、キャリアに関する情報発信など。
これらのコンテンツを作成する際には、ターゲット人材の視点を常に意識することが重要です。彼らが知りたい情報、興味を持つであろうテーマ、利用しやすいフォーマットなどを考慮し、共感を呼ぶストーリーテリングを心がけましょう。
コンテンツの作り方については以下の記事で説明しているので参考にしてください。
▶️ コンテンツの作り方:BtoBに有効なコンテンツ作成ステップ
4.効果的な情報発信チャネルの選定〜ターゲット人材が利用する可能性の高いウェブサイト、SNS、イベントなどを活用した情報発信戦略。
魅力的なコンテンツを作成したら、それを適切なチャネルを通じてターゲット人材に届ける必要があります。闇雲に情報を発信するのではなく、ターゲット人材が普段利用しているメディアや情報源を分析し、効果的なチャネルを選定することが重要です。
例えば、ITエンジニアを募集するのであれば、技術系のコミュニティサイトやSNS、GitHubなどが有効かもしれません。営業職であれば、ビジネス系のSNSや業界団体が主催するイベントなどが考えられます。
主な情報発信チャネルとしては、以下のようなものがあります。
• 自社採用サイト: 企業の公式な採用情報の発信拠点。魅力的なコンテンツを充実させ、応募しやすい導線を設計することが重要です。
• SNS: Twitter、Facebook、LinkedIn、Instagramなど、ターゲット層に合わせたプラットフォームを選定し、情報発信やコミュニケーションを行います。
• 求人媒体: ターゲット層に特化した求人媒体や、スカウト機能が充実した媒体などを活用します。
• イベント: 採用説明会、キャリアフォーラム、業界イベントなどに参加し、直接求職者と接点を持ちます。
• 社員紹介: 社員のネットワークを活用し、リファラル採用を促進します。
• オウンドメディア: 企業のブログやnoteなどを活用し、継続的に情報発信を行います。
それぞれのチャネルの特性を理解し、複数のチャネルを組み合わせた戦略的な情報発信を行うことで、より多くのターゲット人材にリーチし、興味関心を高めることができます。
5.候補者とのエンゲージメント強化〜説明会、インターンシップ、カジュアル面談などを通じて、候補者との良好な関係を構築する方法。
マーケティングでは、すぐには購入しない見込み顧客(リード)を育成する「リードナーチャリング」という手法があります。採用でも、すぐには応募しない潜在候補者を育成する「候補者ナーチャリング」が効果的です。
例えば、会社説明会や技術セミナーに参加した人に、定期的にキャリア関連情報やイベント案内を送り、徐々に関係性を深めます。「いきなり応募か無視か」の二択ではなく、段階的に関係を構築するアプローチです。
なので、一方的な情報発信だけでなく、候補者との双方向のコミュニケーションを通じて、エンゲージメントを高めることをしていきます。候補者が企業に対して親近感を持ち、入社意欲を高めるためには、丁寧なコミュニケーションと良好な関係構築が不可欠です。
具体的なエンゲージメント施策としては、以下のようなものが挙げられます。
• 採用説明会: 企業の理念やビジョン、事業内容、働く環境などを詳しく説明し、候補者の疑問や不安に答える機会を提供します。オンラインでの開催も有効です。
• インターンシップ: 実際に業務を体験してもらうことで、企業の雰囲気や仕事内容への理解を深めてもらいます。入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
• カジュアル面談: 選考に進む前に、企業や仕事について気軽に質問できる機会を提供します。候補者の不安を解消し、企業への興味を高める効果があります。
• SNSでの交流: コメントへの返信やDMなどを通じて、候補者と積極的にコミュニケーションを取ります。
• 採用イベント: 企業文化や社員の魅力を体感できるような、参加型のイベントを企画・開催します。
• 選考プロセスにおける丁寧なコミュニケーション: 選考の進捗状況をこまめに連絡したり、フィードバックを提供したりすることで、候補者の不安を軽減し、企業への信頼感を高めます。
これらの施策を通じて、候補者との良好な関係を築き、**「この企業で働きたい」**という気持ちを高めることが重要です。
6.応募体験の向上〜応募しやすい環境整備、迅速かつ丁寧なコミュニケーションによる候補者の満足度向上。
せっかく興味を持った候補者がいても、応募プロセスが煩雑だったり、企業の対応が遅かったりすると、応募意欲を失ってしまう可能性があります。候補者がスムーズに応募でき、気持ちよく選考を受けられるような環境整備が重要です。
具体的には、以下のような点に配慮する必要があります。
• 応募フォームの最適化: 入力項目を必要最低限にし、スマートフォンからも応募しやすいように設計します。
• 応募書類の簡略化: 履歴書だけでなく、ポートフォリオや職務経歴書など、企業の求める情報に合わせて提出方法を工夫します。
• 選考スケジュールの明確化: 選考の流れや期間を事前に伝え、候補者の不安を軽減します。
• 迅速な連絡と丁寧な対応: 応募受付や選考結果の連絡は迅速に行い、問い合わせには丁寧に対応します。
• オンライン面接の導入: 遠方の候補者や忙しい候補者でも参加しやすいように、オンライン面接を導入します。
• 選考結果のフィードバック: 合否に関わらず、可能な範囲で選考結果の理由や改善点などをフィードバックすることで、候補者の成長を支援し、企業の印象を高めます。
応募体験の向上は、企業のブランドイメージ向上にも繋がります。候補者一人ひとりを大切にする姿勢を示すことが、優秀な人材の獲得に繋がるのです。
7.入社後のフォローアップ〜新入社員のオンボーディングを成功させ、早期離職を防ぐための施策。
採用活動は、候補者の入社で終わりではありません。入社後の新入社員がスムーズに組織に馴染み、能力を最大限に発揮できるよう、丁寧なフォローアップ(オンボーディング)を行うことが重要です。
オンボーディングの主な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
• 入社前準備: 入社前に必要な情報提供や手続きを行い、不安を解消します。
• 導入研修: 企業の理念やビジョン、組織体制、就業規則などを理解してもらうための研修を実施します。
• メンター制度: 新入社員一人ひとりに先輩社員がメンターとしてつき、業務や職場環境に関する相談に乗ります。
• OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング): 実務を通して必要なスキルや知識を習得してもらいます。
• 定期的な面談: 上司や人事担当者が定期的に面談を行い、新入社員の状況や課題を把握し、サポートします。
• フィードバック: 定期的に業務の成果や課題についてフィードバックを行い、成長を促します。
• キャリアパスの提示: 将来的なキャリアパスを示し、モチベーション維持を図ります。
新入社員の早期離職は、採用コストの損失だけでなく、企業の評判低下にも繋がりかねません。丁寧なオンボーディングを通じて、新入社員のエンゲージメントを高め、長期的な活躍を支援することが重要です。
8.効果測定と改善〜採用活動のKPIを設定し、効果を測定しながら改善を繰り返すPDCAサイクルの構築。
マーケティング活動と同様に、採用活動においても効果測定を行い、その結果に基づいて改善を繰り返すPDCAサイクルを構築することが重要です。
採用活動における主なKPI(重要業績評価指標)としては、以下のようなものが挙げられます。
• 応募数: 採用チャネルごとの応募数、ターゲット人材からの応募数など。
• 採用単価: 一人当たりの採用にかかったコスト。
• 内定承諾率: 内定を出した候補者のうち、入社を承諾した割合。
• 離職率: 入社後一定期間内の離職者の割合。
• 採用充足率: 計画した採用人数に対して、実際に採用できた人数。
• 採用期間: 採用活動を開始してから内定を出すまでの期間。
• 候補者満足度: 採用プロセスにおける候補者の満足度(アンケート調査など)。
• 入社者のパフォーマンス: 入社後の新入社員の評価や成果。
これらのKPIを定期的に測定し、目標との差異を分析することで、採用活動の課題や改善点が見えてきます。例えば、「特定の採用チャネルからの応募数が少ない」「内定承諾率が低い」「早期離職が多い」といった課題が見つかった場合は、その原因を分析し、対策を講じる必要があります。
データに基づいた改善を継続的に行うことで、採用活動の質と効率を高め、より優秀な人材の獲得に繋げることができます。
◾️ 採用はマーケティング
「採用はマーケティングである」という認識は、先進的な考え方ではなく、生き残るための必須条件といえます。人材獲得競争が激しくなる中、今までの「選考」という発想から脱けだし、「候補者体験」という発想に転換する企業が人材を惹きつけることができます。
マーケティングで「顧客中心主義」が重要になったように、採用の世界でも「候補者中心主義」がカギになるでしょう。「うちの会社が何を提供できるか」ではなく「候補者は何を求めているか」から発想する企業が、採用市場を制します。
ここで強調したいのは、採用マーケティングは「見せかけ」の話ではないということです。優れたマーケティングが顧客にとって価値ある製品やサービスから始まるように、優れた採用マーケティングも本当に価値ある職場環境から始まります。
採用マーケティングの本質は「良い会社をありのまま見せる」ことであって、「悪い会社を良く見せる」ことではありません。後者は短期的には効果があっても、早期離職など、破綻に繋がります。
真の採用マーケティングとは、自社の本当の価値を理解し、それを求める人材に、最適な形で伝えること。それこそが、持続可能な人材獲得の鍵なのです。
このように、マーケティングの考え方を採用活動に応用することで、企業はより戦略的に優秀な人材を獲得し、組織の成長に繋げることができます。ぜひ、この記事で紹介した手法を参考に、自社の採用活動を見直し、新たな一歩を踏み出してください。
この記事については以下の動画でも説明していますので、参考にしてください。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
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