コンテンツマーケティングとは?業界・業種別の課題解決策と成功事例

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◾️ 【経営者必見!】コンテンツマーケティングとは?
「問い合わせが全然来なくてリードが取れない」
「今までの顧客が離れていく」
「認知度が足りないから新規顧客が取れない」
こういう時はコンテンツマーケティングが有効です。
コンテンツマーケティングとは、
「顧客にとって役に立つ"価値ある"情報=コンテンツを発信し、顧客を惹き付け、維持するための戦略的な取り組み」
という、ターゲット層にとって役立つ情報や興味を惹くコンテンツを発信して、理解を深めてもらった上で商品やサービスの購入につなげていくマーケティング戦略です。
コンテンツマーケティングが必要な理由は以下の記事で説明していますので、参考にしてください。
▶️ コンテンツマーケティングは、なぜBtoBに有効なのか?その理由とメリット・デメリット
上記の図はコンテンツマーケティングの全体像を表しています。SEO対策、SNS、広告出稿で興味を惹き「面白そうだな」、「もっと深く知りたいな」と思ってもらいます。そして、ランディングページで、ブログや動画を使いより詳しく説明します。
そして自社の魅力や独自性を十分わかってもらった上で、商談に入ることで契約に繋げやすくしていくことを目的にしています。
◾️ コンテンツマーケティングと広告での訴求との違い
コンテンツマーケティングを成功させるポイントは「いきなり売り込まないこと」です。
自社製品の詳しい内容をアピールすることよりも、有益な情報の提供を優先して「この会社の情報は、役に立つ」「この人なら、信用できそうだ」と思ってもらうことを目的にします。
自社を知ってもらう、という意味で共通する広告とコンテンツマーケティングを比べてみます。
通常の広告やセールスは「狩猟」のようなものです。すぐに結果を求めて、ターゲットを見つけて獲物を追いかけます。
一方、コンテンツマーケティングは「農業」です。土壌を耕し、種をまき、水や肥料を与え、丁寧に育てていく。時間はかかりますが、収穫は安定して継続的に得られます。
例えば、有益なブログ記事や動画を継続的に発信することは、良質な土で作物を育てることにあたります。最初は目に見える成果がなくても、徐々に顧客との信頼関係という土壌が育まれ、やがて大きな収穫に繋がります。
BtoC企業のコンテンツマーケティングでは、カインズの「となりのカインズさん」が成功事例として有名です。ホームセンターのカインズが運営するオウンドメディアで、DIYや暮らしのアイデアを発信することで、商品への興味やファンを増やしています。
BtoB企業では、HubSpot社が有名です。CRMや営業支援ツールのSaaS の会社で、営業・マーケティングに役立つブログやホワイトペーパーなどを使い、見込み客向けに自社のサービス内容を発信しています。
◾️ コンテンツマーケティングはどんな企業のどんな課題を解決するのか
コンテンツマーケティングは、どのような企業に向いているかを課題ごとに解説します。
1) 【認知度向上】「うちの会社・製品をもっと、市場に広めたい」
課題感:
良い商品やサービスを持っているのに、ターゲット層に知られていない。
広告を打っても一時的な効果しかなく、費用対効果も上がらない
解決の方向性:
ターゲット顧客が興味を持つであろう有益な情報を発信することで、検索エンジンやSNSを通じて見つけてもらいやすくする。
面白いコンテンツはシェアされやすく、口コミ効果も期待できる。
活用事例:
地方の観光協会が、その地域の隠れた魅力を紹介するブログや美しい風景動画を制作・発信したところ、SNSで話題となり、観光客数の大幅増を狙う
2) 【見込み顧客(リード)獲得】「問い合わせが全然来ない...」
課題感:
- ウェブサイトへの、アクセスが少ない
- 問い合わせや資料請求などのアクションに繋がらない
解決の方向性:
ターゲット顧客の課題解決に役立つ専門的な情報やノウハウをコンテンツとして提供する
「この会社は信頼できる」「もっと詳しく知りたい」と思ってもらい、問い合わせや資料請求といった具体的なアクションを促す
事例:BtoB向けのソフトウェア会社
業界のトレンド分析や製品の活用事例に関するホワイトペーパーを公開し、企業担当者のダウンロードを促し、その後の商談に繋げる
3) 【顧客エンゲージメント向上・ロイヤルティ育成】「今までの顧客が離れていく」
課題感:
- 一度購入してくれた顧客のリピート率が低い
- 顧客との接点が少なく、関係性が希薄になっている
解決の方向性:
購入後の顧客に対しても、製品の活用方法やメンテナンス情報、関連するお役立ち情報などを継続的に提供する
顧客満足度を高め、長期的な関係性を構築します。「この会社、買ってからも親切だな」と思ってもらう
事例: ECサイト
購入者向けに商品のスタイリング提案や季節ごとのコーディネート例をメールマガジンやSNSで配信したところ、リピート購入率が向上し、ファンコミュニティも形成された。
4) 「広告費ばかりかかって、もう限界...」
課題感:
- 広告に頼った集客ばかりで、費用がかさむ
- 広告の効果も年々薄れているように感じる
解決の方向性:
良質なコンテンツで、長期的に検索エンジンからの評価を高め、オーガニックな流入を増やす
広告費を抑えながら、安定した集客が可能にする
事例: 中小企業の製造業
ニッチな分野に関する専門性の高いブログ記事をコツコツと書き続けた結果、数年後にはその分野の権威として認知され、広告をほとんど使わずに多くの顧客を獲得できるようになった。
コンテンツマーケティングでのコンテンツ作成のコツについては以下の記事で説明していますので、参考にしてください。
▶️ コンテンツの作り方:BtoBに有効なコンテンツ作成ステップ
▶️ コンテンツマーケティング成功はネタ探しから!ペルソナからひもとくSEO効果のあるコンテンツの作成方法
◾️ コンテンツマーケティングが向いている業界・業種
コンテンツマーケティングは、基本的にはどんな業界・業種でも有効ですが、特に以下のような特徴を持つ業界・業種でその効果を発揮しやすいと言えます。
1) 専門知識やノウハウが重要な業界:
IT、医療、金融、コンサルティングなど、顧客が意思決定をする際に専門的な情報を必要とする業界。質の高い専門コンテンツは信頼獲得に繋がりやすいです。
事例: 医療機器メーカーが、医師や医療従事者向けに最新の研究データや治療法に関するウェビナーを開催し、製品への関心を高めた。
2) 商品やサービスの理解に時間がかかる業界:
BtoBのソリューション、高価格帯の商品、複雑なサービスなど、顧客がじっくり検討する必要がある業界。段階的に情報を届け、理解を深めてもらうことが重要です。
事例: 産業機械メーカーが、製品の導入事例や技術的なメリットを詳細に解説した事例集や動画を制作し、潜在顧客の購買意欲を高めた。
3) 顧客との長期的な関係構築が重要な業界:
サブスクリプションサービス、教育、不動産みたいな、顧客と長い繋がりが求められる業界にも向いています。定期的に情報を出したりコミュニケーションをして、顧客とのエンゲージメントを維持・向上させるんです。
事例: オンライン学習プラットフォームが、学習ノウハウや受講生の成功事例をブログやSNSで発信し、コミュニティ感を醸成し、継続利用を促進した。
4)ストーリーや共感を重視する業界:
ファッション、食品、旅行、エンターテイメントなど、顧客の感情に訴えかけることが大事な業界ですよね。ブランドのストーリーや顧客体験を魅力的に伝えるコンテンツは、共感を呼び、ファン化に繋がりやすいです。
事例: ある食品メーカーが、商品の背景にある生産者の想いやこだわりを紹介するドキュメンタリー動画を制作し、ブランドイメージを高め、共感を呼んだ。
5) 無形商材・高関与商材を扱うBtoBの業界
ITシステム、コンサル、士業、人材サービス、設備機器など、サービス契約に関する検討期間が長く、説明が必要なビジネスにも向いています。
事例:中小製造業の機械部品会社が「設計者向けに選定のコツ」をシリーズ化して公開。
設計段階から想起されるようになり、大手との取引が実現した。
◾️ コンテンツマーケティングの構築ステップ

コンテンツマーケティングを組み立てるときには、以下のようなステップで進めて行きます
1)事前準備
まずは事前準備です。「誰に」向けたコンテンツなのかをはっきりさせます。顧客は誰か、彼らはどんな課題や悩みを持っているのか、どんな情報を求めているのかを徹底的に理解するのが大事ですよね。マーケティングの基本の「買い手目線」に立つことです。
2)目的の明確化
コンテンツ制作の目的を明確にすることです。認知度向上なのか、信頼性構築なのか、それとも直接的な購買促進なのか。目標によってコンテンツの種類や配信方法が変わってくるためです。
3)コンテンツ戦略
どんな種類のコンテンツを、どのようなテーマで、どのチャネルで、どのタイミングで発信していくか、全体的な戦略を立てます。ここで「何を」「どうやって」という要素を決めていきます。顧客の情報収集行動に合わせてブログにするのか、動画、ホワイトペーパー、ニュースレターなのか、を決めて行きます。
4)コンテンツ制作
質の高いコンテンツを作成します。重要なのは「顧客にとっての価値」であり、自社製品の宣伝や売り込みではありません。情報の正確さ、分かりやすさ、独自性を意識しましょう。
5)配信と最適化
作ったコンテンツを適切なチャネルで発信し、反応を測定します。データに基づいて継続的に改善していくことが重要です。失敗を恐れず、次につなげる「学習する組織」の姿勢が成功の鍵です。
6)継続と一貫性
コンテンツマーケティングは短期的な施策ではなく、長期的な関係構築です。一貫性を持って継続することで、徐々に成果が現れてきます。
コンテンツマーケティングの本質は「売り込まずに売れる仕組みを作る」ことです。顧客の立場に立ち、価値ある情報を提供し続けることで、自然と信頼関係が生まれ、購買行動につながります。
特に今のデジタル時代では、顧客は購入前に自分で多くの情報を集め、比較検討します。その過程で役立つ情報を提供できる企業が選ばれる時代になっています。
コンテンツマーケティングは単なる手法の導入ではなく、「顧客視点の文化」を企業に根付かせることでもあります。明日から始められる小さな一歩から、ぜひ取り組んでみてください。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
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