法人営業で成果を出す!BtoBマーケティングの本質とビジネスを加速させる3つの実践ポイント

法人営業で成果を出すBtoBマーケティングの本質と、ビジネスを加速させる実践ポイント

法人営業の成果は、BtoBマーケティングの理解から始まる

法人営業で成果を出すには、BtoBマーケティングのポイントを押さえておくのが必須です。

「なぜ商談が進まないのか?」「なぜ提案が通らないのか?」----多くの法人営業担当者が抱えるこの悩みの根本原因の1つに、BtoCマーケティングとBtoBマーケティングの違いを理解していないことがあります。

消費者向けビジネス(BtoC)で通用したノウハウを、そのまま法人向けビジネス(BtoB)に当てはめても成果は出ません。なぜなら、顧客の意思決定の仕組みが根本的に違うからです。

今回は、BtoB法人向けビジネスの経営者と営業担当者に向けて、ビジネスを加速させるための本質的なポイントと、今日から実践できる具体的なアクションをお伝えします。

ビジネスを加速させる3つの決定的ポイント

BtoBビジネスで成果を出すために、必ず押さえるべきポイントは3つです。

  1. 決める人が複数いる
  2. 買う理由は「会社の利益」
  3. 買うプロセスが長く複雑

この3つを理解し、適切に対応することで、商談の成約率は劇的に変わります。

ポイント1:意思決定者は1人ではない

個人向けビジネス(BtoC)の場合: 購入者本人が、その場で即決します。説得すべき相手は明確で、1人です。

法人向けビジネス(BtoB)の場合: 意思決定に関わる人は複数います。

  • 窓口担当者(最初の接点)
  • 部門責任者(予算を握る人)
  • 現場スタッフ(実際に使う人)
  • 購買・経理担当(コストを精査する人)
  • 経営者(最終決裁者)

ビジネスを加速させるコツ: 関係者全員が社内で説明できる材料を用意することです。窓口担当者が上司に説明しやすい、現場が経営者に説明しやすい----この「説明のしやすさ」を設計することが、商談スピードを上げる鍵となります。

ポイント2:購買理由は「感情」ではなく「論理」

個人向けビジネス(BtoC)の場合:

  • 気分が上がる
  • 便利で嬉しい
  • 自分へのご褒美

感情が先に来て、そこから理由を後付けで探します。

法人向けビジネス(BtoB)の場合:

  • コストを削減できる
  • 売上を増やせる
  • リスクやトラブルを防げる

論理が先に来て、「会社にとって得かどうか」が判断基準になります。

ビジネスを加速させるコツ: 提案では必ず「数字」と「具体例」を先に出すことです。「○%のコスト削減」「△日の時間短縮」「□件のミス防止」----定量的な効果を明確に示した上で、現場が楽になる、社員が安心するといった定性的な価値を補足します。

ポイント3:購買プロセスは「駅伝」である

 BtoBマーケティング 意思決定プロセス.png

個人向けビジネス(BtoC)の場合: 見つける → 欲しくなる → 買う → 使う。短距離走のように、最初の数秒で勝負が決まります。

法人向けビジネス(BtoB)の場合: 課題認識 → 情報収集 → 比較検討 → 社内承認 → 契約 → 導入 → 定着。駅伝のように、各区間でバトンを渡していく長いプロセスです。

ビジネスを加速させる最重要ポイント: BtoBで商談が止まる最大の理由は「社内承認」です。窓口担当者は興味を持っているのに、社内の手続きで止まってしまう----これがボトルネックの90%を占めます。だからこそ、社内承認を通しやすくする材料を提供することが、ビジネスを劇的に加速させる最も効果的な方法なのです。

今すぐ実践できる3つのアクション

理論を理解したら、次は実践です。今日から始められる具体的なアクションを3つご紹介します。

アクション1:「社内申請3点セット」を用意する

商談が社内承認で止まる理由は、担当者が「上司を説得する材料」を持っていないからです。

今すぐ作れる「得意先の社内で回せる資料3点セット」:

  1. 比較表(1枚)

    • 自社と他社の違いが一目でわかる
    • 機能、価格、導入実績を横並びで比較
    • 「なぜ御社なのか」を一瞬で理解できるもの
  2. 導入事例シート(1枚)

    • 「どんな会社が」「どんな課題を」「どう解決したか」
    • 具体的な数字(コスト○%削減、時間△時間短縮など)
    • 同業種・同規模の事例があればベスト
  3. 社内申請テンプレート(1枚)

    • 導入目的、期待効果、費用、投資回収の見込み
    • そのままコピーして稟議書に貼れる形式
    • 担当者の作業を限りなくゼロにする

この3点セットを商談の早い段階で渡すだけで、成約までのスピードが2〜3倍になります。

アクション2:メッセージの順番を「納得→安心」に変える

BtoBでは、感情より論理が先です。営業トークや提案資料の構成を見直しましょう。

NGパターン(感情先行):「当社のシステムは使いやすくて、社員の皆さんに喜ばれています!」 → 経営者は「で、数字は?」と思う

OKパターン(論理→安心):「導入企業の平均で、業務時間を週3時間削減できています。年間換算で人件費約50万円の削減効果です。加えて、現場からは『操作が直感的で迷わない』と高評価をいただいています」 → 数字で納得してから、安心材料を得られる

今すぐできること: 営業資料の最初の3ページを見直してください。定量的な効果が最初に来ていますか? 感情的な表現から始まっていたら、順番を入れ替えるだけで反応が変わります。

アクション3:ボトルネックを1つ特定して集中改善する

全体を一度に改善しようとすると、何も進みません。まずは「一番止まっている場所」を1つだけ見つけましょう。

BtoBの典型的なボトルネック:

  • 問い合わせ後の初回面談に進まない → 問い合わせのハードルが高すぎる可能性
  • 面談後に見積依頼に進まない → 価値が伝わっていない可能性
  • 見積後に成約に進まない → 社内承認の材料不足の可能性
  • 成約後に使ってもらえない → 導入サポート不足の可能性

今すぐできること: 直近3ヶ月の商談データを見て、どこで一番落ちているかを数えてください。そして、その1箇所だけに特化した改善策を1つ実行します。

具体例:

  • ボトルネックが「見積→成約」なら、社内申請テンプレートを作る
  • ボトルネックが「問い合わせ→面談」なら、問い合わせフォームを簡略化して、事例PDFを自動送信する
  • ボトルネックが「面談→見積」なら、面談時に必ず比較表を使って説明する

1つのボトルネックを解消するだけで、全体の成約率は大きく改善します。

実践企業の成功事例

事例1:製造業向けシステム会社(社員30名)

以前のアプローチ: 展示会で最新機能を前面にアピール。技術的な優位性を強調していたが、問い合わせ後の面談率が低かった。

改善策: 展示会で配布する資料を変更。技術資料ではなく、「社内申請テンプレート+投資回収シミュレーションシート」を提供。

結果: 問い合わせから面談への移行率が38%向上。さらに、面談から見積依頼への移行率も25%改善。理由は明確で、担当者が社内で説明しやすくなったから。

事例2:人材育成サービス会社(社員15名)

以前のアプローチ: サービスの特徴や講師の経歴を詳しく説明していたが、見積後に止まるケースが多発。

改善策: 見積提出時に、「導入前後の変化予測シート(3ヶ月・6ヶ月・1年後)」と「他社の導入事例比較表(同業種3社)」を追加。

結果: 見積から成約への転換率が42%向上。特に、経営者決裁が必要な大型案件でのスピードが劇的に改善。

ビジネスを加速させる本質

  1. 相手の仕事を楽にする

    顧客は「良い商品」を買うのではなく、「自分の仕事が楽になる解決策」を買います。営業担当者の仕事を楽にする、決裁者の判断を楽にする----この視点が全てです。
  2. 社内承認を設計する

    BtoBの商談は、顧客の会社の中で起きるドラマです。そのドラマの脚本を、あなたが書いてあげるのです。「担当者が上司にどう説明するか」まで設計することが、プロの仕事です。
  3. プロセス全体を線で見る

    点ではなく線で考えます。問い合わせ、面談、見積、成約、導入、定着----このどこかが詰まっていないか。全体の流れの中で、一番漏れている場所を特定し、そこだけを集中的に改善する。これが最短ルートです。

今日から始める3ステップ

  1. ボトルネックを特定する

    直近の商談データを確認し、どこで一番止まっているか1箇所を選びます。
  2. その場所に特化した資料を1つ作る

    ・社内承認で止まる → 申請テンプレート

    ・価値が伝わらない → 比較表

    ・具体性が足りない → 導入事例シート

    完璧を目指さず、まず1つ作って使ってみることが重要です。
  3. 1週間後に効果を測定する

    その資料を使った商談と使わなかった商談で、次のステップへの移行率がどう変わったかを数字で確認します。

まとめ/クロージング

法人営業で成果を出すには、BtoBマーケティングのポイントを押さえておくのが必須です。

BtoBの本質は、「相手の会社の中で起きる意思決定プロセスを理解し、それをスムーズにする材料を提供すること」に尽きます。

決める人が複数いること、買う理由は会社の利益であること、買うプロセスは長く複雑であること----この3つを理解した上で、社内承認を通しやすくする材料を用意する。

今日お伝えした「社内申請3点セット」を作るだけで、あなたのビジネスは確実に加速します。まずは1つ、今日から始めてみてください。小さな一歩が、大きな成果につながるはずです。

この記事の内容は、動画でも説明してますので、参考にしてください。

◾️ 執筆者

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執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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