2026.02.22
営業力

【BtoB法人営業】売れる営業と売れない営業の違いとは?|成果を分ける「考える順番」

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売れる営業と売れない営業の決定的な違い
〜マーケターの目線で見ると、実はここがズレています〜

BtoB法人営業の現場で起きている「考え方の差」を徹底解説

「売れない営業ほど、営業をしている。」

少しドキッとした方も多いのではないでしょうか。同じ会社で、同じ商品を、同じ価格で売っているはずなのに、なぜかある人だけが圧倒的に売れる。この現象は、才能や話術の違いではありません。

今回は、マーケターの視点からBtoB法人営業における「売れる人」と「売れない人」の根本的な違いを解説します。その違いは一言でいえば、「何から考えているか」----つまり、思考の順番にあります。

この記事でわかること

  • 売れる営業と売れない営業の「考え方の違い」
  • マーケティング思考を持つ営業が実践していること
  • 「比較されない設計」と「顧客の成功」という考え方
  • 今日から使える思考の切り替え方

1. 「店員さん型」と「名医型」----2種類の営業スタイル

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BtoB営業の世界には、大きく分けて2つのタイプが存在します。「店員さん型」と「名医型」です。この違いを理解することが、売れる営業への第一歩となります。

売れない営業=「店員さん型」

お客様が「最近、うちの組織、なんだか元気がなくて...」と言うと、すぐに「それなら、この最新の社員研修というサプリメントがありますよ」と自社商品を差し出す----これが典型的な店員さん型、いわゆる「モノ売り」の営業です。

お客様が言ったキーワードに反応し、すぐに解決策(商品)を提示しようとする。一見親切に見えますが、本当の課題を把握できていないまま動いているケースがほとんどです。

売れる営業=「名医型」

一方、売れる営業は名医型です。名医は、いきなり処方箋を出しません。まず徹底的に問診(ヒアリング)をします。

  • 「なぜ、そう感じたんですか?」
  • 「それは、いつ頃からですか?」

何が問題なのかを徹底的に掘り下げてから、はじめて「どう解決するか」を考えます。この「課題を特定してから解決策を考える」という順番が、売れる営業の基本姿勢です。

2. 課題解決(ソリューション)の本当の意味

問診を丁寧に行っていくと、見えてくる景色が変わります。「組織の元気がない」という訴えに対して、最初はサプリ(社員研修)が必要だと思っていたのに、実はただゆっくり休ませること(残業規制や業務見直し)が必要だったと気づく----これが、課題解決の本質です。

BtoB営業でも同様のことが起きます。「研修の内容が悪いのかと思って相談に来た」というお客様の本当の問題が、実は評価制度の設計そのものにあった----というケースは少なくありません。

そうなると、提案の内容はこう変わります。
「研修の前に、まず評価シートを見直しませんか。そのお手伝いをさせてください」

このように、お客様自身が「これが欲しい」と言っていたものを提案するのではなく、本質的な課題に対して最適な解決策を提示すること----それが真のソリューション営業であり、売れる営業が実践していることです。

3. マーケターの目線で見た「地図の広さ」の違い

ここからは、マーケターの視点を加えて解説します。売れる営業と売れない営業は、見ている「地図の広さ」がまったく異なります。

  • 売れない営業が考えること:「どうやって、この商品を売るか」
  • 売れる営業が考えること:「どうすれば、お客様が自然に買いたくなる状態を作れるか」

マーケティング用語で言えば、売れない営業は「プロダクトアウト(自社の商品ありき)」で動いています。一方、売れる営業は「マーケットイン(お客様の課題ありき)」で動いてから、最後に自社の商品・サービスを当てはめていきます。この発想の転換が、結果に大きな差を生み出します。

まとめると、売れない営業は「何を売るか」から考え始めますが、売れる営業は「お客様に何が起きているか」から考え始めます。この出発点の違いが、すべての差を生み出しているのです。

4. 売れない営業は「最後に頑張る」、売れる営業は「最初に設計する」

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「いつ頑張るか」のタイミングも、両者では根本的に異なります。

売れない営業ほど、商談の「最後」に頑張ります。値引き、期限の提示、「上司に確認します」といったカード切りが典型例です。しかし、マーケターの目線から見ると、これは「選ばれる理由を、前半で作れていない」だけの話です。医者に例えれば、診断があいまいなまま、強い薬を出している状態です。

BtoBの商談において、これはお客様にとって最も不安な状態です。担当者からすれば、「本当にこの会社に頼んで大丈夫なのか」という不安が払拭されないまま、価格交渉だけが進んでいく状況になってしまいます。

売れる営業は逆です。商談の「前半」に、なぜ自分たちが選ばれるべきかの根拠と信頼を積み上げます。結果として、クロージングは自然な流れになります。

営業組織での戦略構築に関しては、以下の記事でも説明しています。参考にしてください。

営業戦略は戦略営業と何が違うのか?マーケティング志向で考える営業の仕組み化
→ https://www.businessjin.com/drill/sales/post_51.html

5. 「比較されない設計」をしている営業が強い理由

商品の売り込み中心で商談を進めると、必ずといっていいほど「他社とも見積もりを比較させてください」という流れになります。これは、自分から価格競争の土俵に上がっているのと同じです。

「比較されない設計」をしている売れる営業(名医型)は、決して「この薬、他社より安いですよ」とは言いません。代わりに、こう言います。
「この治療方針なら、再発を防ぐことができます」

BtoBでは、商品スペックや価格よりも、「考え方の筋道」「情報の整理の仕方」「安心のためのアプローチ」こそが、選ばれる理由になります。この差別化ポイントを前面に出すことで、価格競争から抜け出せるのです。

6. 商談は「準備で8割」決まる----会う前に仮説を立てる

もう一つ、マーケター視点で重要な違いがあります。それは「いつ考えるか」というタイミングです。

売れる営業は、会う前に仮説を持っています。マーケティングで言う「ペルソナ設計」と「課題仮説」です。

  • 「この業界なら、ここがボトルネックになりやすい」
  • 「この会社の規模・フェーズなら、ここに一番の不安があるはずだ」

こうした仮説を事前に用意しているからこそ、商談の場でお客様の本音を引き出す質問ができます。一方、売れない営業は「商談中に考える」スタイルで、相手の反応待ちになってしまいます。結果として、浅いヒアリングで終わり、的外れな提案につながります。商談は、準備で8割が決まります。

7. 「担当者を社内ヒーローにする」という発想----カスタマーサクセス思考

売れる営業のもう一つの特徴が、「顧客の成功(カスタマーサクセス)」を中心に考えることです。

BtoBの取引では、お客様は「会社」ですが、実際に動いているのは担当者個人です。その担当者が、あなたの提案を社内で通し、上司から「お前、いい会社見つけてきたな」と言われることが、彼らにとっての「成功」です。

売れる営業は、担当者がその評価を得るためのストーリーを準備します。具体的には次のようなものです。

  • ROI(投資対効果)を示す具体的な数字
  • 失敗リスクを排除するための資料や事前説明
  • 他社の成功事例(担当者が社内プレゼンで使えるもの)

これらはすべて、「担当者を社内のヒーローにするための小道具」です。自分を売り込むのではなく、お客様の成功を支援することに徹する----この思想が、長期的な信頼と受注につながります。

売れる営業人材を育成する方法については、以下の記事でも説明しています。参考にしてください。

人材が育つBtoB組織と、育たない組織の決定的な違いとは?育成を「設計」する仕組みづくりの勘所
→ https://www.businessjin.com/drill/human-resource/btobbtob.html

8. 売れる営業は、実はマーケティングをやっている

ここまでを整理すると、売れるBtoB営業がやっていることは、以下の3つです。

  1. 顧客理解----お客様のビジネス・組織・担当者を深く理解する
  2. 課題の構造化----表面の訴えの奥にある本質的な問題を特定する
  3. 価値の翻訳----自社の商品・サービスを「お客様の言葉」で価値に変換する

これはすべて、マーケティングの思考プロセスそのものです。

だからこそ、こう言えます。「売れる営業は、マーケティングをやっている。売れない営業は、説明をしているだけ。」

まとめ:考える順番を変えることから始めよう

売れる営業と売れない営業の違いを、改めて整理します。

【売れない営業の特徴】

  • 「何を売るか」から考える(プロダクトアウト)
  • 商品の説明・売り込みが中心
  • 価格比較の土俵に乗ってしまう
  • クロージングで値引き・期限頼みになる

【売れる営業の特徴】

  • 「お客様に何が起きているか」から考える(マーケットイン)
  • 徹底的なヒアリングで課題を構造化する
  • 「比較されない設計」で価格競争を回避する
  • 商談前に仮説を持ち、準備で8割を決める
  • 担当者の社内成功(カスタマーサクセス)を支援する

最後に、あなた自身に問いかけてみてください。

あなたは今、薬を売っていますか? それとも、診断をしていますか?

営業スタイルを変えたいなら、まず「話し方」を変えようとするのではなく、「考える順番」を変えることから始めてみてください。その小さな変化が、積み重なって大きな結果の差を生み出します。


この記事については、以下の動画でも説明していますので参考にしてください。

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執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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