【経営者必見‼️】新規顧客が取れない本当の理由〜営業の努力でなく"戦略設計"で成果を出す3つの方法

【9割が気づいていない】BtoBで販路拡大が止まる本当の理由──努力ではなく「設計」で変わる中小企業の営業戦略
「営業、頑張っているのに成果が出ない...」
「展示会に出ても新規が取れない」
「紹介も減ってきて、数字が伸びない」
こうした声を、製造業などBtoB法人向けビジネスの経営者の方から本当によく聞きます。
実は、その原因は「営業の努力不足」でも「市場の悪化」でもありません。
結論から言うと、それは "戦略設計のズレ" にあります。
この記事では、私がコンサルティング現場で実際に見てきた「BtoB販路が止まる会社に共通する3つの構造」と、
その打開策である「販路を再び動かす3つの戦略」について、印刷業・製造業の実例を交えながら解説します。
1.「販路が止まる」3つのパターン
まず、販路開拓がうまくいかなくなる会社には、典型的な3つのパターンがあります。これは、規模や業界を問わず共通しています。
パターン① 製品起点の営業になっている
「うちの技術はすごいんです!」「この製品、30年の実績があって...」
----こうした言葉をよく聞きます。誇りを持って語るのは素晴らしいことですが、顧客が本当に求めているのは「製品そのもの」ではなく、「それによって得られる成果」です。
たとえば製造業の現場では、「加工精度が高いこと」自体よりも、「トラブルが減り、納期を守れること」のほうが顧客の価値になります。
製品中心の営業は、"売り手の論理"で止まってしまう。だからこそ、まずは「顧客が本当に欲している成果」を再定義することが出発点になります。
パターン② 属人的営業に依存している
「ベテラン営業が退職したら売上が3割減った」――こんな話も珍しくありません。
これは、"スーパー営業マン"に頼りきった構造にあるからです。彼らがいなくなった瞬間にノウハウが消える。つまり、会社の資産になっていないということです。
営業の"勘"や"経験"を「型」にして共有できていない限り、再現性は生まれません。そして再現性がない組織は、必ずどこかで成長が止まります。
パターン③ 部分最適のマーケティング
「展示会に出て、広告も打って、SNSも始めた」----それでも成果が出ないのは、これらがバラバラに動いているからです。
展示会担当は展示会だけ、広告担当は広告だけ、SNS担当はSNSだけ。どれもが点で終わっていて、"線"になっていない。つまり、マーケティング活動が「戦略」ではなく「施策の寄せ集め」になっているのです。
この3つのパターンに共通しているのは何か?
それが、「顧客不在の戦略」です。
"誰の、どんな課題を、どう解決するのか"という設計図がないまま、現場が動いている。だから販路が止まるのです。
顧客目線と企業目線の違いについては、以下の記事で詳しく説明しています。
顧客目線と企業目線のズレを解消:「売れない」を解決するBtoB営業組織の作り方
2.「戦略なき販路開拓」は、地図を持たずに山を登るようなもの
たとえるなら、戦略を持たない販路開拓は「地図を持たずに山に登るようなもの」です。
最初は勢いで登れますが、途中で必ず迷い、最終的には遭難してしまう。
地図=戦略があるからこそ、「どの方向に向かえばよいか」「どのルートが最短か」が見える。
戦略がズレると、どんなに優れた営業力があっても成果にはつながりません。
3.販路を再び動かす3つの戦略
ここからは、販路が止まった会社がもう一度動き出すための「3つの打開策」を紹介します。
実際に成果を出した中小企業の事例を交えて、順に見ていきましょう。
戦略① 顧客理解の構造化──「何を達成したいのか」を再定義する
最初に取り組むべきは、顧客理解の再設計です。
印刷会社A社では、かつて「パンフレット印刷」を主力商品としていました。しかし価格競争で利益は削られる一方。A社はある日、思い切ってビジネスモデルを転換します。
彼らが新しく掲げたのは、「営業が使いやすい提案資料を一緒に設計する」という方針。つまり、印刷物を売る会社から、"営業成果を支援する会社"に変わったのです。
結果、取引先は1年で2倍に増え、利益率も向上しました。
顧客が本当に欲しかったのは「印刷物」ではなく、「受注率の向上」だったからです。
これがまさに、ジョブ理論でいう「顧客の進歩=Jobs」を捉えた戦略。顧客の"仕事"を前に進める存在になること。それが販路再生の第一歩です。
戦略② 再現性を仕組みでつくる──"勘と経験"を「型」に変える
2つ目は、再現性のある販路設計です。これは属人的な営業を「仕組み」に変えることを意味します。
製造業B社では、営業日報をAIで分析しました。
「どんな提案が通りやすいのか」「どんな業種が反応しているのか」「どの課題に刺さっているのか」
これらをすべてデータで"見える化"したのです。
その結果、受注率は2割アップ。さらに、新人営業でも成果を出せるようになりました。
つまり、「スーパー営業の勘」が仕組みに変わったということ。これこそが本当の意味での営業DXです。
たとえるなら、販路開拓は筋トレのようなもの。
すぐに効果は出ないけれど、正しいフォームで続ければ確実に結果が出る。
闇雲に数をこなすよりも、「型」を作り、反復することが成果への最短ルートなんです。
戦略③ 仮説検証で新しい販路を開く──小さく試して早く学ぶ
3つ目は、仮説検証の設計です。
多くのBtoB企業が「新しい市場を開きたい」と言いますが、いきなり商品を作ったり、展示会に大きく出展したりしてしまう。これではコストもリスクも大きすぎます。
そこで重要になるのが、「小さく試して早く学ぶ」という仮説検証の考え方。
たとえば、ある部品メーカーC社では、展示会への出展をやめ、LinkedInでの情報発信に切り替えました。さらにターゲットを「購買担当者」から「設計者」に変更。
購買担当者は価格で判断しますが、設計者は技術価値で判断するからです。
結果、年間30件だった商談が、半年で50件に。仮説を小さく検証しながら改善を重ねたことが成果につながりました。
この「仮説検証型販路開拓」は、PDCAではなくOODAループ(観察→判断→行動→修正)に近い思考。完璧な戦略を練るよりも、スピードと学習で競合を上回ることができます。
4.販路再生の3ステップ:方向を変えれば結果は変わる
ここまでの内容をまとめましょう。
- 戦略1:顧客理解を構造化する -- 顧客が"何を達成したいのか"を明確にする。
- 戦略2:販路を型化する -- 個人技を「仕組み」に変え、再現性を持たせる。
- 戦略3:仮説検証を回す -- 小さく試して、早く学び、すぐに改善する。
販路が止まったときに必要なのは、「もっと頑張ること」ではなく、「方向を変えること」。
努力を量ではなく、設計の質に変える。
この3つの戦略を実践すれば、必ず販路は再び動き出します。
5.努力の前に、戦略を整える
もしあなたが今、「うちの営業は頑張っているのに成果が出ない」「新しい販路を作りたいけど、何から始めればいいか分からない」そんな悩みを持っているなら、まずやるべきことは"頑張ること"ではありません。
それは、「顧客と戦略の再定義」です。
戦略が整えば、販路は自然に動き出します。努力は方向さえ合っていれば、何倍もの成果になります。
マーケティングとは、「売るためのテクニック」ではなく、「顧客の課題を見つけ、解決の道筋を設計すること」。
そして、それを組織の誰もが再現できるようにする。これが、私が提唱している"売れる仕組み=マーケティング設計"です。
BtoBの世界で販路が止まるのは、人ではなく、仕組みの問題。
そしてその仕組みを作るのは、経営者の"戦略思考"です。
「販路開拓は、努力ではなく設計で決まる。」
販路が動かない理由は、営業の頑張り不足ではなく、仕組みの設計が不十分だからです。
そしてその設計を行い、その重要性を社員に浸透させるのは、社長の仕事です。
一方で、それを日々の現場で実践し、成果へとつなげていくのは、社員の仕事です。
設計、浸透、そして社員教育。
この3つをどう進めるかで、会社の未来は大きく変わります。
マーケティングアイズでは、BtoB企業の販路開拓を戦略から実行までサポートしています。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
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