マーケティング分析の完全ガイド|売上につながる6つのフレームワークと実践法

◾️【経営者必見‼️】マーケティングの市場分析の本質:売上につながる「分析のストーリーライン」とは
表とグラフ作りが目的になっていませんか?
「分析やってます」という経営者の方、本当に多いです。でも、その分析、本当に売上につながっていますか?
もし表やグラフを作ることが目的になっているとしたら、それは非常に危険な状況かもしれません。
分析で本当に大切なのは、「売れる気づき」を得ること。そのために必要な分析とは何なのか、今日はそこを詳しくお話ししたいと思います。
マーケティングに取り組む際、多くの方がこんな悩みを抱えています:
- 「分析って何をすればいいの?」
- 「フレームワークが多すぎて何から始めればいいかわからない」
- 「そもそも数字や分析が苦手で...」
実際、数字や分析に苦手意識を持っている方は意外と多いものです。でも安心してください。分析の本質を理解すれば、誰でもマーケティング思考で成果を上げることができるようになります。
◾️ そもそも「分析」とは何をすることなのか?:分析の定義と目的
分析の定義と目的
ここで質問です。「分析」とは何をすることでしょうか?
この質問をすると、「情報を集めること?」「数字を見ること?」といった答えが返ってくることが多いのですが、実はそれだけではありません。
分析とは、
- 複雑な情報を整理し、
- パターンや関係性を見つけて、
- 意思決定に役立つ洞察を得ること です。
マーケティングにおける分析の目的は、具体的に3つあります:
- 現状を正確に把握する
- 機会と脅威を発見する
- 戦略の方向性を決める
つまり、闇雲にデータを集めるのではなく、「何のために」「何を知りたいのか」を明確にして行うのが真の分析なのです。
分析は料理と同じ
私がよく使う例え話があります。「分析は料理と同じ」ということです。
材料(データ)を集めて、適切な調理法(フレームワーク)で調理し、最終的に美味しい料理(戦略)を作る。これが分析の本質なんです。
逆に言えば、「分析をしないでランディングページを出す」ことは、「味見をしないで料理をお客様に出しているようなもの」なのです。
想像してみてください。あなたが新メニューを開発して、いきなりお客様に提供したとします。でも味見していなかったら?美味しいと思われているのか、しょっぱすぎると思われているのか...まったくわからないですよね。
この「味見」が分析なんです。ちゃんと確認していれば、「ここの塩加減が強いな」とか「このソースは好評だな」という改善点が見えてきます。マーケティングでの分析も全く同じです。
◾️ マーケティングに必要な6つの分析フレームワーク
では、マーケティングで使う主要な分析フレームワークを整理してみましょう。
- PEST分析
政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technology)の外部環境を分析するフレームワークです。大きなトレンドや環境変化を捉える際に使用します。 - 3C分析
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の関係を分析するフレームワークです。ビジネスの基本構造を理解するために不可欠です。
3C分析については以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてください
▶️ 3C分析とは?成果につなげる3C分析のやり方を事例と図解で解説 - 5フォース分析
業界の競争環境を5つの力(新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、既存競合との競争)で分析するフレームワークです。 - SWOT分析
強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を整理するフレームワークです。戦略の方向性を決める際の「分析のハブ」となります。 - VRIO分析
自社リソースの価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織(Organization)を評価するフレームワークです。自社の競争優位を分析する際に使用します。 - 4P分析
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)のマーケティングミックスを分析するフレームワークです。具体的な実行計画を立てる際に活用します。
これらを見て「覚えるのが大変そう」と思いましたか?でも、安心してください。重要なのは暗記ではありません。
◾️ 分析はつながっていることを理解しよう
ここが今日の最も重要なポイントです。
これらの分析フレームワークは、実はすべてつながっているんです。独立したツールではなく、一連のストーリーの中で使うものなんです。
私はこれを「分析のストーリーライン」と呼んでいます。具体例で説明しましょう。
ステップ1:PEST分析で外部環境を把握
まず、PEST分析で大きな環境変化を捉えます。例えば、「少子高齢化が進んでいる」「DXが加速している」「サステナビリティが重視されている」といった情報を集めます。
ステップ2:3C分析でより具体的に分析
PESTで得た情報を、3C分析の「顧客」と「競合」の分析に活用します。
- 顧客:少子高齢化により、どんな顧客ニーズが生まれているか?DXによって顧客の行動はどう変化しているか?
- 競合:DXの波に乗って、新しい競合が現れていないか?従来の競合はどう対応しているか?
3C分析のポイントについては以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてください
▶️ 3C分析とは?分析の方法、集める情報、ポイントとステップ
ステップ3:5フォース分析で競合をさらに深掘り
3C分析で見えてきた競合状況を、5フォース分析でより詳細に分析します。新規参入の可能性や代替品の脅威などを具体的に評価します。
ステップ4:VRIO分析で自社を深掘り
3C分析の「自社」部分を、VRIO分析でより詳しく分析します。外部環境の変化に対して、自社のリソースがどの程度競争優位を持てるかを評価します。
ステップ5:SWOT分析で気づきを統合
これまでに集めた情報を、SWOT分析で統合し、新たな気づきを得ます。
- PESTの情報は「機会」と「脅威」に
- VRIOの情報は「強み」と「弱み」に
この統合プロセスで、「外部環境の変化」と「自社の能力」の接点が見えてきます。
ステップ6:戦略立案へ
SWOTで得た洞察をもとに、具体的な戦略を立案し、4P分析で実行計画を作ります。
このように、分析は一直線につながっているんです。バラバラに使うのではなく、一つのストーリーとして活用することで、本当に価値のある洞察が得られるのです。
◾️ 非マーケターに必須の3つの分析
すべての分析が重要ですが、現実的に考えて、すべてを習得するのは時間も労力もかかります。そこで、立場によって習得すべき分析を使い分けることをお勧めします。
マーケター(マーケティング専門職)の場合
すべての分析フレームワークを習得してください。なぜなら、様々な業界、様々な状況で最適な分析を選択する必要があるからです。クライアントや上司から「なぜその分析を選んだのか」を説明できる必要もあります。
非マーケター(他部署の方、経営者など)の場合
最低限、3CとSWOTを習得しましょう。この2つができれば、マーケティング思考で物事を考えることができます。
特に重要なのは次の3つです:
- 3C分析 - ビジネスの基本構造「誰に」「誰と戦って」「自分は何ができるか」を明確にする
- SWOT分析 - 複雑な情報を整理し、戦略の方向性を決める「分析のハブ」
- 4P分析 - 具体的な実行計画を立案する
私の経験では、この3つができれば、マーケティング戦略の8割は成功します。
なぜ3CとSWOTだけで十分なのか?
非マーケターの方に3CとSWOTをお勧めする理由は3つあります。
理由1:意思決定の本質を押さえている
3Cは「誰に」「誰と戦って」「自分は何ができるか」という、あらゆるビジネス判断の根幹です。SWOTは「今、何をすべきか」の優先順位を決める思考法です。この2つができれば、戦略的思考の基盤が身につきます。
理由2:他の分析の土台になる
3CとSWOTができれば、他の分析も理解しやすくなります。逆に、これができないと他の分析も表面的になってしまいます。まずは基礎をしっかり固めることが重要です。
理由3:日常業務に直接活用できる
複雑な分析は専門家に任せても、3CとSWOTは日々の業務判断に使えます。会議での意思決定、新規プロジェクトの評価、問題解決など、あらゆる場面で活用できる汎用性の高いツールです。
実際の成功事例
事例1:営業部長のケース
私がコンサルティングで関わったある企業の営業部長は、3CとSWOTを習得後、劇的な変化がありました。
- 従来の思考:「とにかく多くの企業に営業をかけよう。数を打てば当たるはず」
- 3C思考後:「顧客の課題を3つに分類し、競合が弱い分野で、自社の強みが活かせるA社とB社に集中しよう」
- 結果:成約率が30%向上し、営業効率が大幅に改善しました。
事例2:人事部長のケース
人事部長が採用戦略を立てる際の変化です:
- 3C分析:求職者(顧客)のニーズ、他社(競合)の採用方法、自社の魅力を分析
- SWOT分析:自社の採用における強み・弱み、労働市場の機会・脅威を整理
- 結果:「給与では大手に勝てないが、成長機会とワークライフバランスで差別化を図る」という明確な戦略が生まれ、優秀な人材の獲得に成功しました。
事例3:経営者のケース
ある中小企業の社長は、新規事業を検討する際に分析思考を活用しました:
- 3C分析で市場の魅力度と競合状況を把握
- SWOTで自社リソースと市場機会のマッチングを確認
- 結果:3つの候補事業から最も成功確率の高い事業を選択し、無駄なリスクを避けることができました。実際に選択した事業は2年で黒字化を達成しています。
このように、3CとSWOTは「マーケティング思考の基礎体力」なんです。これができれば、どんな部署でも、どんな立場でも戦略的な判断ができるようになります。
◾️ 分析を実践で活用する3つのコツ
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完璧を求めない
情報が80%揃ったら、まず分析してみる。完璧な情報を待っていては、機会を逃してしまいます。不完全でも一度分析してみることで、「何の情報が足りないか」「どこを深掘りすべきか」が見えてきます。 -
仮説を持って分析する
「何を確認したいのか」「どんな答えが欲しいのか」を明確にしてから分析を始める。仮説がないと、データに振り回されて本質を見失ってしまいます。「もし〇〇だとしたら、△△のはず」という仮説を立てて検証するスタンスが重要です。 -
定期的に見直す
市場は常に変化します。月1回は主要な分析を見直し、アップデートしましょう。私の会社では、毎月第一月曜日を「分析の日」として、主要な分析を見直しています。これにより、市場変化に素早く対応できています。
◾️ 分析のストーリーラインを実践しよう
今日のポイントをまとめます:
- 分析は意思決定のためのもの。データ収集やグラフ作成が目的ではない
- フレームワークはつながっている。独立したものではなく、ストーリーラインで理解する
- 重要な3つの分析:3C、SWOT、4P(特に3CとSWOTは必須)
- 習得レベルを使い分ける:マーケターは全部、非マーケターは3CとSWOTから始める
分析は決して難しいものではありません。適切な順番で、適切なフレームワークを使えば、誰でもマーケティング思考ができるようになります。
重要なのは、「分析のための分析」ではなく、「売上につながる分析」を意識することです。表やグラフを作ることに満足するのではなく、「この分析から何が言えるのか?」「次にどんなアクションを取るべきか?」を常に考えながら進めてください。
皆さんも今日から、この「分析のストーリーライン」を意識して実践してみてください。最初は慣れないかもしれませんが、継続することで必ず成果につながります。
マーケティング分析は、ビジネスを成功に導く強力な武器です。正しく使いこなして、皆さんのビジネスを次のレベルに押し上げていきましょう。
このブログでは、マーケティングや営業に役立つ記事を掲載しています。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
マーケティングを自社に取り入れたい、営業チームを活性化したい、新しいビジネスを軌道に乗せたいなど、この記事やマーケティングについて知りたいこと、聞いてみたいことは、マーケティングアイズ株式会社のフォームからお気軽にどうぞ(以下をクリックください)