マーケティングとブランディングの違いとは?「別物」と考えると失敗する理由と統合戦略の極意

「マーケティングとブランディング、結局どっちが大事なんだ?」
「うちはマーケティングは強いけど、ブランディングが弱い気がする」
経営者やビジネスリーダーの方々と話をしていると、このような悩みを頻繁に耳にします。多くの企業が、この二つの言葉の狭間で揺れ動き、リソース配分に頭を悩ませています。
もし、あなたも同じように「どちらを優先すべきか」と考えているなら、厳しいことを言うようですが、その問い自体が間違っています。
こんにちは、マーケティングアイズの理央 周です。
「マーケティング」と「ブランディング」。この二つはビジネスにおいて非常に重要な概念ですが、同時に最も誤解されている概念でもあります。
多くの人が、これらを「別々のもの」として捉えています。しかし、結論から言えば、マーケティングとブランディングは「別物」ではありません。
マーケティングという大きな目的を持った活動全体があり、その中に「ブランドをつくる」という重要な機能が含まれているのです。
この本質的な関係性を理解せず、両者を切り離して考えてしまうと、あなたのビジネスは知らず知らずのうちに「売れない構造」に陥ってしまいます。逆に、この関係性を正しく理解し、「統合」された戦略として実行できれば、ビジネスは劇的に加速します。
CONTENTS
1. マーケティングの真の目的は「顧客の創造」である
マーケティングの目的は、現代経営学の父ピーター・ドラッカーが提唱したように、非常にシンプルです。それは「顧客の創造」。これに尽きます。
単に商品を宣伝することだけがマーケティングではありません。まだ見ぬ顧客を見つけ出し、その顧客のニーズを満たし、自社の商品やサービスを選んでもらい続けること。そのために、会社全体の「売れる仕組み」をどう設計するか。これがマーケティングの全貌です。
売れる仕組み全体を設計する「街づくり」
マーケティングを分かりやすく例えるなら、「街づくり」に近い仕事と言えるでしょう。人々がアクセスしやすいように道を整え、魅力的なお店を準備し、住みやすさを整える。人が集まり、経済が回る仕組みそのものを作る活動なのです。
2. ブランディングとはマーケティングの中の「意味づけ戦略」
ブランディングとは、マーケティングの中にある1つの重要な「機能的な戦略」です。その目的は、顧客の頭の中に、あなたの会社や商品に対する「意味づけ」を行うことです。
「この会社の商品は失敗がない」「この人に任せれば安心」といった、顧客があなたに対して抱く独自の認識。これを作り出すのがブランディングです。単なるデザインの話ではなく、顧客への「約束」や「価値観」を記憶に刻む仕事なのです。
顧客の記憶に刻む「街の雰囲気と物語」
マーケティングが「街全体の設計」だとしたら、ブランディングはその街が持つ独特の「雰囲気」や「物語」に当たります。人々は機能だけでなく、その街が持つイメージに惹かれて集まってきます。ビジネスも同様に、独自の「意味」という付加価値があるからこそ、指名買いされる存在になれるのです。
3. 「別物」と考えると陥る、2つの典型的な失敗パターン
マーケティングとブランディングを分断して考えると、成果は出なくなります。
失敗1:ブランディング(見た目)だけ先行してしまう企業
「誰に」「何を解決するか」という戦略がないまま、ロゴやサイトを綺麗にしても、顧客には何も伝わりません。綺麗だが中身のない箱には、誰も集まらないのです。
失敗2:機能訴求のみで「安さ」でしか選ばれない企業
スペックの良さ(事実)ばかりを伝え、ブランドとしての意味を伝えないと、顧客は「価格」でしか判断できなくなります。結果、激しい値引き競争に巻き込まれてしまいます。
4. 成功事例:「マーケティングの中にブランドがある」を体現する企業
事例1:Amazon──戦略が勝手にブランドを育てた
初期のAmazonは、広告でブランドを作ったわけではありません。「探しやすい」「届くのが早い」という顧客体験の仕組み(マーケティング)を徹底した結果、顧客の心の中に「Amazon=安心・便利」というブランドが勝手に育っていったのです。
事例2:中小BtoBメーカー──ターゲットを絞り「パートナー」へ
ある部品メーカーは、ターゲットを「選定に迷う技術者」に絞り、相談窓口という仕組みを整えました。その結果、「頼れる技術相談所」というブランドが確立され、値引きなしで選ばれるようになりました。
5. 本質的な違いと関係性のまとめ
- マーケティング = 売れる仕組み全体の設計図(顧客を創造する活動)
- ブランディング = 仕組みから生まれる「意味」の記憶(差別化する戦略)
この2つは別々に動くのではなく、自然につながって「ひとつの流れ」になるのが本質です。
6. なぜ経営者がこの「統合の視点」を持つべきなのか
分けて考えてしまうと、社内の発信はバラバラになり、営業は属人化し、利益率は落ちていきます。逆に、すべてを「顧客の創造」という目的に一本化すれば、ブランドも営業も採用もすべてがつながり、強固な「売れる構造」へと育っていくのです。
7. まとめ:あなたの会社で「ひとつの流れ」を作るために
マーケティングとブランディングが別の会議で語られているなら、まずはその壁を取り払ってください。「一貫性のある活動」こそが顧客の信頼を生み、売り込まなくても売れる最高のブランドを形作ります。
ぜひ、あなたの会社でもこの「統合された視点」を取り入れてみてください。
この記事については以下の動画でも説明していますので、参考にしてください。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
マーケティングを自社に取り入れたい、営業チームを活性化したい、新しいビジネスを軌道に乗せたいなど、この記事やマーケティングについて知りたいこと、聞いてみたいことは、マーケティングアイズ株式会社のフォームからお気軽にどうぞ(以下をクリックください)
