【2026年予測】マーケティングは「売り方」から「選ばれ方」へ。AI時代に勝つ企業の3つの条件

2026年マーケティング大予測――「売り方の時代」は終わり、「選ばれ方の時代」が始まる

「2026年は、"売り方の時代"が終わって、"選ばれ方の時代"が始まる年です。」

少し刺激的な言い方ですが、これは決して煽りではありません。 BtoB企業の経営者の方ほど、ここ数年、こんな違和感を持っているのではないでしょうか。

  • 営業は頑張っているのに、新規が取りづらくなった
  • 広告や施策を増やしても、手応えが薄い
  • 比較され、検討される前に「候補から外されている」気がする

もしそう感じているなら、その原因は「売り方が古いから」ではありません。 そもそも"選ばれるプロセスそのもの"が変わり始めているのです。

この記事では、2026年に向けてBtoBマーケティングで起きる大きな変化を、次の3つの予測にまとめて解説します。

  • 予測1:AIと一緒に選ぶ時代(AI Co-Decisions)
  • 予測2:超・関連性の時代(ハイパー・リラバンシー)
  • 予測3:体験にお金が動く時代(プレミアム・エクスペリエンス)

そして、それぞれに対して経営として何を設計し直すべきかを考えていきます。

予測1:AIと一緒に選ぶ時代が来る――「AI Co-Decisions」という構造変化

最初の予測は「AI Co-Decisions」。 少し横文字ですが、意味はシンプルです。 人が一人で考えて選ぶのではなく、AIと一緒に意思決定する時代になるということです。

すでに日常生活では、その兆しが見えています。

  • 「この条件に合う会社を比較して」
  • 「A社とB社、どちらが自社に向いている?」
  • 「今のフェーズに合うツールを選んで」

こうした"比較・検討・整理"の作業を、人ではなくAIに任せる。 これはBtoCだけでなく、BtoBの購買プロセスでも確実に進みます。

ここで経営者として押さえておくべき重要なポイントがあります。 それは、企業は「顧客に選ばれる前に、AIに選ばれる必要がある」ということです。

AIは、営業トークや勢いでは選びません。

  • 情報の深さ
  • 主張の一貫性
  • 実績や事例の裏付け
  • 信頼できる文脈

こうした要素をもとに、合理的に候補を絞り込みます。 つまり、「露出を増やせばいい」「数を打てば当たる」という発想は、AI時代にはほとんど意味を持たなくなります。

AI時代に価値を持つのは「人間らしさ」

もう一つ重要なのは、AIが合理的になればなるほど、人間側が判断する最後の決め手は感情になるという点です。

  • この会社は信用できそうか
  • 考え方や価値観が合うか
  • 一緒に仕事をしたいと思えるか

こうした「感情の納得」は、AIには代替できません。 だからこそ、ブランドの哲学・ストーリー・姿勢といった"人間らしさ"が、これまで以上に重要になるのです。

実践アクション①:AIフレンドリーなデータ戦略
AIが参照しやすい形で、FAQ、事例、プロセス解説などを整備する。 「表に見せる情報」だけでなく、「裏側の知識」を資産化することが重要です。

実践アクション②:人間らしい信頼の構築
理念、意思決定の軸、社会への向き合い方を言語化する。 AIが真似できない"思想"が、最終的な差別化になります。

※AI時代に必要な仮説力については、以下の記事も参考になります。
問いを立てる力とは?〜AI活用で成果を出す"戦略的プロンプト設計"

予測2:量から質へ。「超・関連性」の時代――ハイパー・リラバンシーとは何か

2つ目の予測は「ハイパー・リラバンシー」、日本語にすれば超・関連性です。

情報は、すでに世の中に溢れ返っています。 さらにAIが要約や整理をするようになり、薄い情報は一瞬で埋もれる時代になりました。 これから評価されるのは、「たくさん発信している会社」ではありません。 「今、この人にとって必要な情報を、ピンポイントで出せる会社」です。

たとえば、

  • 直前にどんな行動をしたのか
  • どんな課題を抱えているのか
  • どのフェーズで悩んでいるのか

こうした"点"ではなく、行動の流れ=文脈(コンテクスト)を理解した情報だけが価値を持ちます。 AIは膨大な情報を読みますが、浅い情報には評価点をつけません。

  • 判断基準が明確な情報
  • 成功・失敗の理由まで踏み込んだ事例
  • なぜそうしたのか、という思考プロセス

こうした「濃いコンテンツ」だけが残ります。 その結果、営業とマーケティングを一本の線でつなぐ"仕組み"が必須になります。 属人的な営業や、その場しのぎの施策では対応できません。

実践アクション①:コンテクスト・マーケティング
顧客の状況に応じて、出す情報を変える設計を行う。 「誰にでも同じ資料」は、これからは通用しません。

実践アクション②:長尺・没入型コンテンツ
短尺で注意を引き、長尺で理解と信頼を積み上げる。 深い情報ほど、時間をかけて読まれる時代に戻っています。

※コンテンツマーケティングの考え方は、以下の記事も参考にしてください。
コンテンツマーケティングとは?業界・業種別の課題解決策と成功事例

予測3:体験にお金が動く――プレミアム・エクスペリエンスの本質

3つ目の予測は「プレミアム・エクスペリエンス」。 特別な体験への支出は、今後も減りません。 生活費は厳しくても、

  • 学び
  • 成長
  • 非日常の体験

には、人はお金を使います。 理由はシンプルです。 「自分で選び、前に進んでいる」という感覚を得たいからです。

BtoBでも同じです。 担当者は、単に機能や価格だけで選んでいるわけではありません。

  • 自分の判断は正しかったか
  • この選択で、自分や組織は前に進めるか

この"自己成長の文脈"に結びつく企業が選ばれます。

実践アクション①:ストーリー設計
体験価値は、商談一発では伝わりません。 接点すべてを通じた、一貫したストーリー設計が必要です。

実践アクション②:ジョブ理論で考える
ドリルを売るのではなく、「穴を開けた先にある未来」を売る。 顧客が本当に達成したいことは何か。 そこから逆算して、自社の価値を再定義する必要があります。

※ジョブ理論については、以下の記事も参考になります。
ジョブ理論の本質と活用方法

AI時代に必要なマーケティング人材とは

この3つの変化に対応するには、「AIを使える人」では足りません。 必要なのは、次の2タイプです。

  1. 1つ目は、AIが出したファクトからインサイトを導き、その妥当性や倫理に責任を持てる人材。
  2. 2つ目は、顧客の痛点と願望を理解し、自社の価値を"人生の文脈"で言語化できる人材です。

マーケティングは、ツールではなく思考です。

まとめ:2026年、企業の明暗を分けるもの

2026年のマーケティングは、次の3つで決まります。

  1. AIが選ぶ時代に合わせること
  2. 量ではなく質で勝負すること
  3. 体験価値を中心に据えること

そして、この3つに共通するのは、「顧客の気持ちをどれだけ深く理解しているか」です。

これからは、「どんな施策を打つか」ではなく、「どんな流れを設計しているか」が企業の未来を分けます。 ぜひ、2026年に向けて、自社の"選ばれ方"を見直すきっかけにしてみてください。

さらに、今回の予測に関連して「具体的にどういう人材を育てればいいのか」を深掘りした資料や個別相談も承っております。ご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

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執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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