Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

売れない問題は誰の問題なのか?ポストコロナ禍・AI時代のマーケティングは本来の顧客視点と仮説・検証、仕組み構築


私としては4年ぶりに、22冊目になるビジネス書を書きました。
タイトルは、「売れない問題 解決の公式」
マーケティング、直球の本になります。

ビジネスには「売れない」という問題は付いて回ります。

SaaS、マーケティングオートメーション、新しいSNSなどを、
やってみたけど上手くいかないのは難しく考えすぎているからだったりします。

マーケティングをひとことで言うと、
「自然に売れる仕組みが入った計画を作り実践すること」です。

この"売れる仕組み"を、「売れないという売り手の問題解決」から、
「顧客が買わない」という、
「買い手の問題発見から解決まで」という視点で考えるのが、本書のポイントです。

また、いくら市場が変わり、顧客の行動が変わっても、
売れない問題の解決は至ってシンプルだったりします。

それは、売れる仕組みを考えた時の、3つの戦略、
「何を、誰に、どうやって」のどれが間違っているからなのです。

本書では現場での実務として、
「売れる仕組み」を実践している現場で、
売れないという問題が起こった時に、
「何を、誰に、どうやって」の順で考え、作成した計画を、
検証する時はその逆の、
「どうやって」から「誰に」「何を」の順で検証する手法を紹介していきます。

売り上げがジリジリ落ちてきた、
新しい顧客が獲得できない、
値引きしないと売れない、
という「売れない」という問題を、深掘りしていくと、

市場のつかみが浅い
潜在ニーズを掴めていない
顧客が価値を感じていない

という真の問題にたどり着きます。

主語が「顧客は」になるのです。
したがって、企業が売れないのではなく、
実は顧客が"買わない"のが真の問題なのです。

コロナ禍やウクライナ情勢の変化などで激変した市場では、
企業目線ではなく、顧客視点での問題解決が必要なのです。

複雑になった顧客が抱える問題を正確に把握し、
顧客が持つ問題をどう解決していくのか、に焦点をおくべきなのです。

3つの戦略に置き換えてみると、
新しい顧客ができないは「ニーズがつかみきれていない」→何を
売り上げ減は「市場のつかみが浅い」→誰に
広告が効かないのは「顧客が知らない、見ていない」→どうやって
が間違っているからなのです。

マーケティングの戦略を立てる時は、
Product(売り物)→Target(売り先)→Communication(売り方)の頭文字を取った、
PTCサイクルの一連の流れで考える、と以前書きました。

実際に計画を実施してみて、
売れない問題が出てきた時、多くの場合は顧客に接している販促や広告などの「売り方」が間違っています。

実施後に問題が出た時は、逆にC→T→Pの順で、
PDCAのように検証を繰り返し「どうやって」に反映していくといいのです。

それではここからは、
Communication(売り方)、Target(売り先)、Product(売り物)
の順にみていきましょう。

どうやって=売り方〜宣伝・プロモーションより共感・コミュニケーション

【問題の理由】
ターゲットが、あなたの発信物を見ていない・
表現がターゲットの心に刺さっていない
そもそもその商品・サービスが要らない

【解決ポイント】
ターゲットを動かせているか?:検索、来店、購入、推奨させ
売り逃しがないか:ターゲットが便利に探し、買え、受け取れるか

【事例】本書の中では、以下のような事例を紹介しています。

広告の反応が減ってきた石油会社のカーリース
なぜ、断捨離をすると売れるチラシになるのか?
ホームページにもQRコードをつけるのですか?と訝るデザイナー
かっこいいサイトより「売れる」サイトを目指す
カタログ請求のリンクが追いかける部品メーカーのホームページ
スシローのアプリはなぜ、売り込まないのか?
10歳の子でもわかるアロマサロンの上級コースのネーミング
「レクサス全車種入ります」で稼いだタワーパーキング

誰に=似顔絵が描けるくらいにターゲットの解像度を上げる

広告、販促、営業が効かないのはターゲットがずれているから
【解決ポイント】潜在ニーズを掴む・本音を探る
ターゲットの価値観→行動→メディア組み合わせへ

【事例】
今までの営業スタイルが効かなくなると予見したメーカー社長
追加注文やリピートのメールが続々と来るのが理想なのに
うちの営業はモノしか売らない、売りやすいものから売ると嘆く社長
お客様は2種類いた! 
マーケティングオートメーションを入れて見えてきた攻略法
カスタマーサクセスを定義〜売るのは部品・欲しいのはコスト削減
ソリューション営業は「三河屋さんだ!」
営業部長はライバルの模倣品にも「落ち着け」と指示できる
試食会をやったら違うお客様が来てしまったショコラティエ
郊外の駅の中で売れるアイスクリームは誰が買っているのか?
もったいない、を儲けに変えてSDGsで売り伸ばした引越会社

何を=差別化より独自化、シェアよりブランディング、モノより効用・便益

【解決ポイント】
物の違いでなく「より良いと認識」されることを目指す
潜在ニーズをどれだけ引き出せるかが勝負
ブランド構築の4ステップをチェック:想起されるかRecall→見た目の価値Perceived Value→ターゲットと距離感が近いかAssociation→行動と心の忠誠心を持たれているかRoyalty
カスタマージャーニーとバリューチェーンを組み合わせて棚卸しし、顧客が知らないうちに犠牲にしていることに強みを当てる
中小企業やスタートアップに必要なニッチトップを奪取せよ

【事例】
ハードとソフトをセットで販売してモノ売りからコト売りに脱皮したカーエレクトロニクスメーカー
理央さん、がん保険いらないですよね〜ソニー生命の保険営業マンは保険の説明はせず将来の目標、夢を聞く
新しいお客様が取れないのは独自化ができていないから
卵を売らず卵かけご飯を売る養鶏会社
損して得取れは正しいのか?〜LCCのピーチのサブスクとガチャ
月に3日間しか売らないどら焼きが欲しくなるわけ〜「いまだけ、ここだけ、あなただけ」
じゃらんに頼らないホテルは新聞を揃える〜豊田プレステージホテル

どうやって〜仕組み化
PTCモデルでCTPの順で検証、修正した「売れる仕組み」を作る

SNS時代に求められるオムニチャネル化
なぜアマゾンはホールフーズを買収したのか?
ニューヨークにあるアマゾンロッカーで売り伸ばす
アマゾンブックスでは書籍よりアレクサとKindleを売っていた
探す、買う、受け取るがシームレスに
売り上げがジリ貧になる現状維持を予見し手を打った製薬卸会社
これから伸びる調剤薬局市場にいけ!
営業会議の後に「売り上げ倍増は無理です...」
業界脳から抜け出せない元スーパー営業マンの苦悩
カスタマーサクセス、数字、成功事例の横展開を仕組み化
段ボールの什器は実は理にかなっているジレットモデル
「忙しいからいらないよ」をどう切り返すのか?
「こんなリストを作ったんですけどどうですか?」とコンサルタントに逆提案してきた営業リーダー
自主独立して新しい販路で4倍の売り上げ達成

どう仕事を進めればいいのか?

計画を常にCTPでチェック〜好奇心を持ち顧客感度を上げる
パーパス経営の考え方をあてはめてマーケティング組織を作る
社員全員マーケターに:3つの力で自力走行する組織に
何を:仮説力(チャンスとリスクを発見できる)
誰に:顧客力(ニーズ、インサイトを掴める)
どうやって:動かす力(顧客と自社内を動かせる)

この本は、マーケティング担当者や専門家のための本ではありません。

これからマーケティングを身につけたい人
営業、経理、人事、IT、生産製造などマーケティング部以外の人
売り上げや利益に悩む企業経営者や個人事業主の方

に読んでほしいと思っています。

また、この本の詳しい解説と、ビジネス書著者の皆さんの読後感想などが見られる特設サイトはこちらから:

売れない問題 解決の公式 解説サイト

最新刊「売れない問題 解決の公式」は↓の画像をクリック:

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)