
下流社会、シンプル族の反乱、など、
現代の消費社会への、ユニークで鋭い観察と描写、
そしてそれらを「クラスターとしてまとめる」ネーミング力、
などなど、これまでとても勉強になった三浦展氏のキーワード集。
これはもちろん、マーケターとして今の消費社会を把握すること、
そして、自分の発信内容に大きなヒントになるだろうと思い読んでみた。
キーワード集、とあるように、
三浦氏の短めのエッセイ集、といった感じの一冊。
時代の特徴を表す傾向をキーワード化し、
それを説明する、といった筋で一貫して書かれている。
シンプル族、でいえばミニマリスト、断舎利、新四畳半暮らし、
といった新しい価値観を持った人たちのライフスタイルが、世の中に浸透し、
マイなりティからマジョリティに変わっている、
という傾向を説明している。
その傾向をとらえて、三浦氏独自のネーミングをしているのだ。
これは、マーケティング活動におけるターゲット設定で、
まず市場を細分化(=Segmentation)し、
次に細分化した各分野(=Segment)を、組み合わせてグループ化(=Targeting)する。
必要な大多数(=Critical mass)にするのだ。
細分化するために、因子分析をし、まとめるためにクラスター分析をする。
この塊をクラスター、と呼ぶ。
企業内では、このクラスターに名前を付け、社内での共通認識とすることが多い。
その意味では、ペルソナと似ている。
たとえば、ラッキーストライクのブランド・マネジメントにおいては、
20代前半の都心に住む男性で、自分のこだわりの価値観を持っていて、
独自行動を好む、というクラスターに、
「ボヘミアン」とつけた。
このクラスターへのネーミングが、三浦氏はとてもうまい。
さらに、面白いのはちょっとしたユーモアを含む、「示唆」があること。
表題にもなっている「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」の章では、
毎日違う服を着ておしゃれを楽しむのはカッコいいことだという前提はあるものの、
ジョブズ氏や大前研一氏の例を挙げ、
毎日多くの意思決定をする経営者が同じ服を着るのは、、
服を選ぶという意思決定をする時間と手間を省きたいから、
そして、それがカッコいいと思われる「層が」増えている。
と説明している。
しかし、この章の最後に、
「毎日同じドブネズミルックで会社に行っている人とは、全然意味合いが違うので注意が必要です」
とくぎを刺している。
この点が、世相を突きながらも全体を見ている感がある、
三浦展氏の観察と表現の特徴なのだ。
マーケターのみならず、経営者にとって、消費トレンドや新しい層の台頭には注意を払うべきである。
その意味で、おススメの一冊だった。
マーケティング コンサルタント 理央 周
(りおう めぐる)
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