Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

トップも知らない星野リゾートフラットな組織文化で社員が勝手に動き出す前田はるみ氏著

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2022年、最初に読もうと思った本が、
この「トップも知らない星野リゾート フラットな組織文化で社員が勝手に動き出す」だ。

ここのところ幸福経営、ティール組織といった次世代マネジメントの考え方が台頭している。
そんな中で、一部では、テイラーイズムを始めとする科学的管理法に疑問を投げかけている。
その背景には、幸福経営と数値管理は相反するものだと考えているからのようだ。

私がこの本を読もうと思ったきっかけは、このあたりにある。


帯にある通り、現場の発想が会社を変えたというテーマで貫かれた、星野リゾートのさまざまな業態のホテルでの10の事例が描かれている。事例はそれぞれ、社員の方々が顧客にとって何ができるかについて、自社のサービスを突き詰めていくといったことが、失敗と成功談として書かれているのだ。

第1章の、「勝手に決める社員たち」の中では、
全員で顧客満足を考える、
またサービスはいちど作って終わりではない、
自分の得意分野で活躍すれば良い、
と言った事例が、ライブ感のある描写で、
生き生きと仕事をしている様が描かれているのだ。

企画マンとして仕事をしてきた私は、
ネガティブな発想や、意見の否定からは、
新しいアイディアや、
顧客のためになるサービスが生まれないと思っている。

次々と打ち手が出てくる星野リゾートにおいて、
チームや社員のモチベーションが高く、
やる気になり、ポジティブになっていればいるほど、
良いアイディアは湧き出てくる。

これらの星野リゾートでの事例が、
異なる業態において、どのようにして生まれて、
実践されているのか、という思いで読み進めてみた。

一方で、社員が幸せだったら、それが売り上げにつながるのか、
競争力の強化につながるのか、
新しい企画の打ち手が当たることにつながるのか、
「そんなに単純なものなのか?」
という疑問も若干湧いてくる。

売り上げの目標やKPIの設定といった数値での管理がなければ、
単なるどんぶり勘定、成り行きでのビジネス、
形になってしまうからだ。

私のこの疑問に対しての答えは、巻末にあった。
星野リゾートの星野社長の解説が腹に落ちた。

まずここで星野社長は、
フラットな組織がサービス業では特に重要である背景には、
消費の即時性があると言っている。

サービス業では顧客を目の前にビジネスをやっているので、
社員が接客した瞬間に消費が完結する、という意味だ。

なので、顧客と社員の間に、経営者が介在することができない。
ということはすなわち、その瞬間、瞬間の経営判断は、
接客する社員一人一人が瞬時に行う必要がある、
というのが星野社長が言っている意味だ。

本にも書かれている通り、
Moment of Truth=真実の瞬間と呼ばれている、
マネジメント、マーケティングの考え方だ。

この真実の瞬間で何ができるのか、
が、競争力の源泉になる。

真実の瞬間で、適切な判断ができるようになるには、
社員1人1人の判断が決め手になり、
モチベーションが高いほど、
その質も比例して上がる、
ということだ。

そして、以前はモチベーション上げるのは社員の責任であったが、
今は、仕組みを作ることにおいて、経営者が社員のやる気を上げる責任がある、
と星野社長は言っている。

この経営者の技術、エンパワメントスキルがまずは重要なのだ。

このようなフラットな組織を作る事は、
まずは経営者が「組織をフラットにするのだ」と覚悟することから始まると断言している。

そのフラットな組織とは、
組織図の中での階層がなく平らな組織という意味ではない。

社員同士が、相手の立場や役職に関係なく、
言うべきことをしっかりと言える組織とのこと。

逆に言うと、社長を始めとした、
管理職と言われている人たちが、
「えらい人信号」を少なくしていくことが大事だという。

さらに、フラットな組織を維持するためには、
社員間の「情報格差を減らす」ことだ。

この解説から先に読んで事例を読むと、
改めて星野リゾートの社員が自分たちでの判断でビジネスを進めているということが、
よりはらに落ちる。

次世代組織マネジメントに今のところ成果がない、
というのが私の持論だ。

なぜならアメーバのように刻一刻と変わっているからだ。

ただし私の中で1つも正解に近いものが見えてきている。

それは論語と算盤。すなわち心の経営と、ビジネスモデルの構築や数字の見える化等の店合理的な考え方を、
いかにバランス持って経営に活かせるか、という点だ。

その意味でも、多くのビジネスパーソンに読んでもらいたいを1冊だ。

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

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