Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

ハーバードビジネスレビュー2020年6月号ABテストで成長を加速させる実験する組織


この厳しい状況の中で、組織の成長を促進させるポイントは、
試行錯誤の繰り返しによるスピードを持った新製品の開発、新規事業の開発」のほかならない。

その意味において、今回のハーバードビジネスレビューの特集は興味深い内容だった。

まず、巻頭の対談が、野中郁次郎氏と入山章栄氏の対談。
困難な時代を乗り越える今こそ、知の作法を身につけようというテーマだ。

野中郁次氏のSECIモデルの創造理論に対して入山氏の考えとをぶつけ合うような対談内容がとても面白い。

中でも、「学生もビジネスパーソンも独自の理論やモデルを構築すべき」との章の中で、
日本の経営理論をビジネスパーソンがどう捉えるべきか、
そしてその中から、ビジネスパーソンは仕事を遂行し成果を出すために、自分のポイントを持つべきだと、
お二人の視点から話しているところが興味深い。

また、形式論理ではなく、知を作る作法を学ぶ必要があるというのも、今の若手リーダーに必要なポイントだ。

特集のまず1つ目、「ビジネス実験を重ねる文化が企業を成功」に導くではブッキング.comの急成長の理由を解説している。

この中には

  • 権限が多いが、新しいルールを首脳陣に守らせる事は簡単ではない
  • 一番給料の高いものの意見ほどあっという間にイノベーションを窒息させる
  • 実験は民主化すべき

といった、実際の実験思考に当てはめられる内容であった。

また、経営者として実験組織を成功に導くのは、
大規模なテストの本質は技術ではなく文化的な問題でありそれを丸ごと受ける姿勢が必要があるということ、
さらに、自分がいかに間違っているかを常に突きつけられるような毎日の中で、どこまでそれを受けられるかということであった。

コンサルタントとして、新規事業開発のプロジェクトを受諾するときには、
その組織の新しいことに対する柔軟度を見極めさせていただいてから、プロジェクトに入らせていただくことにしている。
これは、意識改革から始めなければイノベーション新規事業の成功に導けないからである。
その意味でも、成功に導く要因には深く共感した。

また、デジタルガレージの試行錯誤に戻る新規ビジネスを高速で会話する実験型組織の作り方の記事も興味深い。

実験型組織の特徴と大企業型組織の特徴を比較している表がチェックリストとして使えそうだ。
中でも、やり方としては

  • 試行錯誤できる砂場の環境を作る
  • 期限を設ける
  • 必要最小限の製品を作る

など、デザイン思考につながる考え方が理解しやすく、ビジネスに取り入れることができそうだ。

また、「デジタル思考と好奇心、グロースマインドセットを育む変革型"CLO"がの未来を開くの記事の中では、
社会人として、ビジネスパーソンとして、このデジタル世界で不可欠なスキルを学ぶリーダーを育てるにはどうしたらいいかということが書かれている点が目についた。特に、デジタル法と対面とデジタルの融合の比較は非常に学びが多いと思われる。

企業な人なり、とは旧来から言われ続けてきたことだが、この進展が急な今の時代、どう育てれば良いのか分からない経営者が多い。
そして、それは当たり前のことなのだ。
なぜなら、正解がないからである。

そこで、試行錯誤、すなわち実験を繰り返し、正解に近づける努力をしていくことが肝要となる。
その点を学ぶヒントになる一冊だ。

マーケティング プロデューサー
理央 周(りおう めぐる)

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