Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

顧客ブランド養成講座
収益を好転させるマーケティングとイノベーション

カテゴリ:「ビジネス書書評」の記事

前の5件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

「調べ方」の教科書:マーケティング計画作成のためのリサーチ・分析・戦略立案の必読書

調べ方の教科書

「電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書
あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術」読了。
正確には"2回目の読了"になる。

2周読んでの感想は「やはり実務で使える」ということ。
まずは、マーケティング活動で必要な調べ方を網羅していることで抜け漏れなく学べること、
そしてその上で、抽象的なことを「定義」している点だ。

たとえば、「問題と課題の違い」を定義していること。
私も研修などで感じるが、多くのビジネスパーソンがごっちゃにしているが、
間違えたまま、また、あいまいなまま進めていくと、
最後まであいまいなままで終わり、身につかないのだ。


たとえば、リサーチなどの調べ方の「手法の説明に終わっていない」という点も同じ。
マーケティングやビジネスにおいて、調べることが大事だし必要なのは、みんなわかっている。
一方で、調べる、といっても、
リサーチや情報収集、分析など「調べる」ということはとても幅広いし、
その分、やり方、手法は星の数ほどある。

なので、リサーチや分析のやり方を1つ1つ教えてもらっても、
「う〜ん、いいことを聞いた」で終わってしまい、
仕事で使えないことも多い。

著者はその点を踏まえて、「リサーチや調査から入らない方がいい」
とまず定義している。

「売れないから調査してみよう」とか、
「新しい商品を出すのでとりあえずリサーチだ」ということではない、と言っている。

このような根本的なことを踏まえて、
各論を展開しているので、ぶれずに読み進めることができるし、
これから新製品を出そう、とか、戦略を固めたい、
と感じているビジネスパーソンにとって、使える内容になっている。


もう1つは、型としてのフレームワークが具体的な事例とともに紹介されているので、
読者が自分の仕事に当てはめられる、という再現性の高さだ。

それをP65の「調べ方の3つのステップ」で、
1."なんとなく"の感覚で仮説を立て
2.仮説検証サイクルを回す
3.ターゲットとセールスポイントを決めて打ち手GO!
という「型」を提供している。

PDCAという有名なフレームワークがあるが、
P,のところの計画を立てる前に、
"調べ"なければならない。

なぜなら、計画というものは全て仮説だから。
なので、仮説の精度が高いほど、検証結果の精度も上がる。
しかし、市場は厳しいので、そうそう当たることはない。
なので、PDCAサイクルはスピード持って回し、
できる限り早く、良い検証結果を出したいところ。

その意味でも、このフレームワークのおかげで、
PDCAの本当の意義が理解できるのだ。

これらのフレームワークを、多くの事例とともに紹介しているので、
「ああ、これってうちの会社に当てはめるとこうなるんだな」
と、再現できる。

私も教育に携わるものとして、
この本をビジネスパーソンにお勧めしたいし、
学生たちにもぜひ読んでもらい、
調べるということの本質を掴んで欲しいと思っている。

私がお勧めするこの本の活用方法は、
1回目にざっと読んで調べ方の全体像を掴む
2回目に、自分の当てはめられそうなところをピックアップして深掘り。事例とともに読んで仕事で再現できるかをチェック。
そして、そのあとも調べ方でわからない点が出てきた時に、辞書のように使う、
といったところだ。

さっそく、関西学院大学の図書館の「先生からの推薦」の1冊とさせていただいた。

久しぶりに出た読み応えのある1冊だった。

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

New! 売れない問題を根っこから解決する「売れる仕組み」を
動画で身につける
⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ 
「できる!マーケティングまるごと講座」on Udemy

コロナ禍の今、会社を"中から"変革したい経営者の方
社員を「戦略リーダー」にしたい経営者・人事責任者はこちらから:

☆ 売れる仕組みを「対面」で身につける→ 社員教育.com 
☆ 売れる仕組みをどこにいても学べる LBTオンライン

ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11 バイロン・シャープ著

IMG_5249.JPG

私の専門分野であり、関西学院大学の経営戦略研究科(ビジネススクール)でも教えている、ブランドマネジメントの参考にしたく、評判の高いこの本を読んでみた。

まず、興味深いのは、フォリップ・コトラーのマーケティングマネジメントを従来のマーケティングと位置付け、
著者の考え方を中心としたブランドマネジメントと比較している点。

なかでも、マーケティングマネジメントは差別化を重要とするが、
ブランディングでは「独自性」を出すべきだと主張する。

独自性とは、Salience(セイリエンス)を持つこと。
聞き慣れないセイリエンスとは、直訳をすると区別されたという意味になるので、
他にない、自社だけのことで勝負すべきだ、
ということになる。

ブランドマネジメントはここ数年、再評価されている。
単なる手法ではなく、事業戦略として位置付けるべきだ、ということだ。

その背景には、SNSの浸透などで消費者の行動が見える化されて、
「自分にとっていいもの」を人たが選ぶ時代になり、
「共感」でモノを買う時代になってきた、という点がある。

差別化は、サイズや価格など目に見える機能的な価値で勝負すること。
一方で、独自化は「自分に関係あるな」という距離感などの情緒的な価値での勝負になる。

差別化を「ライバルより良いモノを作ること」とすれば、
独自化は「ライバルよりも"価値があると認識"されること」になる。

その意味でも、独自化の重要性についての部分は大いに参考になる。

もう1点は、ブランディングのキモが2つある、それは、
メンタルアベイラビリティと
フィジカルアベイラビリティだ、
ということ。

アベイラビリティという言葉は、日本語英語ではないので、
私も初めて聞いた時(1990年のことだった)には、わかりづらかったが、
「ユーザーにとって身近にあるかどうか」というような意味だ。

前者は、自社がいる業界やカテゴリーで1番に思い出してもらえること。
後者は、買いたいと感じた時に、便利に買うことができるかどうか、ということ。

想起され、利便性が高いことが重要だ、
とのこと。

ブランドマネジメントの目的は「ファン(=ロイヤルユーザー)になってもらって、
継続して買ってもらうこと」

そのためにも、この2点は重要なのだ。

この考え方は、消費財のマーケティングのみではなく、
生産材を扱うような、BtoBのビジネスでの営業にも当てはまる。

多くある競合の中から、一番に思い出してもらえる営業をする、
また、いつでもどこでも自社の製品やサービスのことを、
聞けたり、見積もり依頼をしたり、注文できるようにしておく、
というのも「アベイラビリティ」なのだ。

この本は、私のようなマーケティングの専門家にとって大きな刺激になる。
さらに、これからマーケティングを学ぶ、ブランディングに興味がある、
という方にも、分かりやすくシンプルにまとめてあるという点でおすすめだ。
さらにいうと、
この本で比較されているマーケティングマネジメントの考え方と、
ブランディングの大家のデビット・アーカーのの本をまず読んでから、
この本を読むと、自社にとって何がマッチしているのかが理解できるだろう。

いずれにしてもおすすめの一冊です。

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

New! 売れない問題を根っこから解決する「売れる仕組み」を
動画で身につける
⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ 
「できる!マーケティングまるごと講座」on Udemy

コロナ禍の今、会社を"中から"変革したい経営者の方
社員を「戦略リーダー」にしたい経営者・人事責任者はこちらから:

☆ 売れる仕組みを「対面」で身につける→ 社員教育.com 
☆ 売れる仕組みをどこにいても学べる LBTオンライン

人類が進化する未来 世界の科学者が考えていること

IMG_5227.JPG

科学者、化学者、理論物理学者、宇宙生物学者、進化生態学者、といった、各界の第一人者が、編者の未来についての問いに答え、語っている本。

一見、ビジネスに関係がなさそうに感じるが、それぞれの専門分野に関する見解が自分の視点とは異なりとても面白い。著者たちは化学や物理、医学といったサイエンスの専門家なので、未来に対する問いには、それぞれの専門分野の範囲の中で答えるだろう、と思って読んでいたが、より深い哲学的、アート的な要素が入ったことを言っているのが共通して興味深い。

たとえば、化学者のジェニファーダウドナ氏は、デザイナーベイビーについて、
「ゲノム編集が行われる可能性は確かにある。しかし、テクノロジーの発展について透明性を保ち続けることが重要だ」と述べている。

科学の進化を止めてはならない、同時に倫理に関しても守っていく、という端的な姿勢だ。

デビット・シンクレア氏は、「人類は理論上200年生きられる」と主張する。
そして、「こういった時代において、身体以外の精神面の健康においても長生きするコツはありますか?」という問いに対して、
「複数のキャリアを持つことだ」と答えている。彼の80歳の父親が新しく始めた仕事を例に「自分が社会に役立っていると感じることが重要だ」と言っている。

科学者として生物的な寿命のこと、医学的な健康をキープするという見解のみでなく、キャリアや精神面について語っているのだ。

リサ・ランドール氏は、「ダークマター(暗黒物質)の存在は目に見えないので、万有引力の法則から導かれた推論に過ぎないのではないか?信じられないと言う人もいるでしょう」という問いに対して、
「捨てるべきはすべての技術は原子で成り立っていると考える固定観念です。これはある種の傲慢な考えです。私たち人間は、宇宙にあるすべてのものを知っていると思うほど全知全能なのでしょうか?」と逆に問い返している。

また「物理の教師が授業で完全に理解しているような教え方をしています」という問いに対して「教師は重力をどのように作用するかを説明します。ところが基本的なレベルにおいてその力とは何か?を教えてません。何かを知っているといっても異なるレベルがある」と答えている。

もちろん、ダークマターやブラックホールに対する見解も面白いが、人間の固定観念が自由な発想を阻害する、という点と、物事を多面的に見ると発見がある、という点を訴えている。

ビジネスにおいても、進化することが重要。そのためには、異なる見解を積極的に取り入れることが重要だと考えている。

その意味でも、科学者たちの未来に関する見解は、大きな刺激になったし、興味深かった。

こんをつめた時の気分転換にもいいし、ビジネスの新しい発想の一助にもなる、おすすめの一冊だ。

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

New! 売れない問題を根っこから解決する「売れる仕組み」を
動画で身につける
⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ 
「できる!マーケティングまるごと講座」on Udemy

コロナ禍の今、会社を"中から"変革したい経営者の方
社員を「戦略リーダー」にしたい経営者・人事責任者はこちらから:

☆ 売れる仕組みを「対面」で身につける→ 社員教育.com 
☆ 売れる仕組みをどこにいても学べる LBTオンライン

ジャニーズは努力が9割 霜田明寛氏著

以前から、ジャニー喜多川さんが、数多くの候補の中からオーディションに呼ぶ人たちを決めているのか。
という、目利きに興味があったので読んでみた。

元SMAPの中居さんから始まり、木村拓哉さんや、長瀬智也さん、岡田准一さんといった、ジャニーズのスターたちが、
スター街道に来るまでに、そんな努力をしてきたのか、という描写がとても興味深い。

もちろんあれだけのスーパースターには、そう簡単になれると思っていなかったし、
努力をしてきているということはわかっていたが、これほどまでとは思っていなかった。

ジャニーズの中でも特に、90年代以降にデビューしたタレントたちの、
隠れた努力や思い、一人ひとりが信条にしている哲学について具体的に書かれているのがとても楽しい。

さらに、何よりいいのは、それがとてもポジティブに描かれていることだ。

この本は、ありがちな暴露本ではなく、純粋にジャニーズを愛している人が、
華やかに当たるスポットライトの影にある1人の人間像を描いているのだ。

そんな中で、改めて驚いたのは、ジャニー喜多川氏がジャニーズに入れるかどうかの、選択基準だ。

それは、「人間性」と「やる気」だということ。
容姿や、将来的な才能、秘めたタレント性ではなく、人として、ということと、頑張れるか、の2つとのこと。

この判断基準は、企業における判断基準に共通するものがある。
考えてみれば、仕事のスキルややり方は入社後のトレーニングで向上できるが、
人間性とやる気は入社後に簡単に変えられるものではない。

特に「自社の理念」「目指すところ」「ミッション」を理解し、共感する人材でなければ、自分の意思でスキルを身につけることはできないし、長続きしない。

Will・Skillマトリックスで考えると、Willが高いかどうか、で決めているということだろう。

最近言われている「ジョブ型雇用」はもちろんジョブすなわち仕事ができる人を採用する、とか、仕事に必要なスキルを持っている人を採用する、という側面もあるかもしれない。しかし、私の外資系企業での経験では、ジョブ型雇用とは「会社にとって必要なジョブ(この場合は仕事というよりもやるべきこと)がある。そのジョブに適した人を採用する、という意味なので、必ずしもスキルだけではない、ということを覚えておきたいところだ。

その意味でも、この本は人事や採用担当者、スタートアップ企業で人材を確保したい人たちにもおすすめできる1冊だ。

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 専門職大学院 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

New! 社員を「戦略リーダー」にしたい経営者・人事責任者はこちらから:

☆ マーケティングをメールマガジンで学ぶ→  売れる仕組み研究メルマガ
☆ 売れる仕組みを「対面」で学ぶ→ 社員教育.com 
☆ 売れる仕組みを動画で学ぶ LBTオンライン

ブランディング 中村正道氏著 ブランディングの重要性と小さな誤解


この本の帯に「ビジネスの高収益を実現する極意」
とある通りに、マーケティングの分野の中でも、ここ数年来ブランディングは重要だ、ということが浸透している。

一方で、ブランディングが正しく理解されていないという現実もある。

ブランドを構築し、企業価値を高め、製品の売り上げに貢献し収益を出していく
という一連の流れの中で、ブランドコンサルティングする会社として最も有名な、
インターブランドジャパンの方の著作なので、読んでみた。

この本では、

  • ブランドとは何か、
  • その必要性、
  • どうやってブランディをマネジメントしていくのか、
  • ブランディングの核になるのは何か、
  • ビジネスとブランドと理念の関係、
  • そしてブランディングをどのように推進し、
  • どう効果測定していくのか、

という流れが、ステップバイステップ、段階を踏んで、
実際の理論と、インターブランドのフレームワーク、
そして企業の実際の事例とともに説明されている。

私は、ブリティッシュアメリカンタバコや、
アマゾンでブランドマネージャーをしてきた実務担当者として、
製品や企業そのものの価値を向上させていくことをやってきた。

その経験から、ブランドマネジメントは、単なる手法論ではなく、
事業戦略として、会社で進めていくべきものだと考えている。
その私が読んでも、この本はより深く広い領域までカバーしているし、
核心をついていると思う。

特に、インターブランドが提唱する4つのクアドラントモデルで、
スターバックスの事例を説明している点が特に腑に落ちた。

スターバックスは、TVCMのようなマスメディアでの広告や、
SNSのプロモーションのような、いわゆる"通常の"販売促進を行っておらず、
経営理念(ミッション)をもとにして、店頭そのものが彼らの最大の強みであり差別化ポイントであるということを利用し、おもてなし含めて今の業界で地位を築いている。

それを持って、ブランディングと一般的なマーケティングコミニケーションとの違いを説明する中で、ブランディング=広告コミニケーションだという誤解である、と論じている。

メディアが多様化して、情報が氾濫する今、ほんの数年前まで主流だったマーケティングコミュニケーションが、効かなくなってしまうことは日常茶飯事だ。

このような状況だからこそ、自社や製品をブランディングすることの重要性がますます高くなっている。
手法の変更などで終わることなく、ブランディングの根っこを理解して初めて、、売れる仕組みが完成する。

その意味でも、マーケティングや営業に関わるビジネスパーソンはもちろん、企業経営者、スタートアップの代表、これからビジネスを起こそうとする起業家にとって一読の価値のある必読書だ。

 

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

New! コロナ禍の今、会社を"中から"変革したい経営者の方へ!

⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ 
twitter_ad_01文字あり.jpg

クリックください→ 「特別動画 公開中!

New! 社員を「戦略リーダー」にしたい経営者・人事責任者はこちらから:

☆ マーケティングをメールマガジンで学ぶ→  売れる仕組み研究メルマガ
☆ 売れる仕組みを「対面」で学ぶ→ 社員教育.com 
☆ 売れる仕組みを動画で学ぶ LBTオンライン 

前の5件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11